聞いた、見た、読んだ。

お気楽金融雇われ人の見聞録

両親の国籍の組み合わせで取れる国籍が変わるのってアリなんだろうか?

二審、比女性の子に日本国籍認めず 「両親の婚姻必要」
訴訟で問題となったのは国籍法3条の規定。同条によると、外国人女性と日本人男性の間に生まれ、生後に男性の認知を受けた子が日本国籍を取得できるためには、「父母の婚姻」が必要だ。
高裁は、出生後に認知されても父母が法律上の結婚をしていない男児のような例について「国籍を取得できる対象に含まれていないことは3条の文言、趣旨から考えて明らか」と解釈した。
さらに、3条の「父母の婚姻」に、男児の父母のような内縁関係を含むと拡張解釈することは「法に定めのない国籍取得要件を新たに作り出すことになり許されない」と指摘。一審が「父母が内縁の子と、婚姻関係にある子を区別するのは違憲」として男児に国籍があると認めたのとは対照的な判断を示した。(asahi.com 2006年3月1日)

裁判で問題になったのは「父は日本人、母は外国人の内縁関係」で生まれた子供の国籍をどうするかという点。現在の運用では、実際に結婚するか、結婚しないのであれば子供が母親のおなかの中にいる間に認知する(胎児認知)手続が必要となっています。今回のケースでは、子供が認知されたのが生まれた後(胎児認知ではない)から、日本国籍を取得できないというもの。

ところが、不思議なことに「父は外国人、母は日本人の内縁関係」で生まれた子供の国籍は認知の有無に係らず日本国籍になるのだとか。両親の国籍の組み合わせで取れる国籍が違うのってどうなんでしょう?

想像するに、内縁関係を理由に無制限に日本国籍取得を認めてしまうと、内縁関係を偽装して不当に日本国籍を取得しようとする輩が出てくることを排除したいとか、出産によって母子が親子であることはある程度確証が持てるが、父子が親子であることは正直確証が持てないということなんでしょうが釈然としません。もっと言えば、父⇒子のつながり(父系)より母⇒子のつながり(母系)の方を優先させるとは何たる男女差別かとw。

今回の判決はそもそも嫡出か非嫡出かで扱いが異なること自体やや時代遅れになりつつある気がしますし、ましてや父母の国籍の組み合わせによって生まれた子供の国籍の扱いが異なってしまうという制度上の問題を放置して、「国籍を取得できる対象に含まれていないことは3条の文言、趣旨から考えて明らか」と言い切ってしまうのはちょっと乱暴じゃないかと思います。