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お気楽金融雇われ人の見聞録

平成23年 論文式試験(刑事系第2問[刑事訴訟法])の構成

司法試験の振返りシリーズ。今日は刑事訴訟法

ところどころ、それらしいことを書いた気はするけれど、全体的にもやもやぁっとした記述。

基本的な制度や概念の理解が、まるでクリアでないことがよくわかる……orz [設問1]第一 逮捕①の適法性
1. 通常逮捕(199条1項)
(1)「罪を疑うに足りる相当な理由」
・H22.1.10に発生したコンビニ強盗の被害者Wの面通し → 「犯人の一人に間違いない」旨の供述 → 適法

(2)逮捕に伴う捜索(211条)
・強盗の共犯者解明のため甲の携帯電話を差押え
・甲「差し押さえられた携帯電話については、私のものであり、私以外の他人が使用したことは一切ない」
 → 適法

2. 勾留(207条、60条)
(1)時間制限:OK
(2)取調中の余罪追及
司法警察員P「他に何かやっていないか」:一般的な余罪確認
・甲「V女の死体を『一本杉』付近に埋めた」:偽計等なし → 任意性問題なし
・1日30分程度、V女の殺人・死体遺棄事件についての取調べおよび上申書・供述録取書作成の説得 → 甲の同意ないため作成せず
→ 別件について取調べているものの相当な範囲内
→ 適法

第二 逮捕②の適法性
1. 現行犯逮捕(212条2項)
(1)「犯人として追呼されているとき」
司法警察員Qが乙の万引きを現認
・Qが呼び止めようとすると、突然逃げ出す
・Pが追いかけて逮捕
→ 現認したのはQ、逮捕したのはPだが、PQは場所的・時間的に近接と考えられる(Qが尾行したのはPの指示)
→ 適法

2. 乙宅の捜索・差押え
・万引きなのにPC差押えの必要あり?
→ 無理やり適法

3. 勾留
(1)時間制限:OK
(2)取調中の余罪追及

司法警察員P「他に何かやっていないか」:一般的な余罪確認
・余罪ない旨供述、以後PQによる取調べなし
→ 別件について取調べているものの相当な範囲内
→ 適法

第三 逮捕③④の適法性
逮捕状あり → 適法

[設問2]
1. 資料1の証拠能力
(1)被告人弁護人の同意(326条)なし
(2)メール①は被告人でないBのメール内容を打ち出したもの → 323条3号の要件充足の必要あり
・メールの発信日時はシステムで自動取得
・BとA女の間の通信
→ 特信性あり

(3)メール①の記載内容 → Bは被告人以外の者
(ア)「俺は、甲と乙と一緒に……午後9時から1時間くらいかかった」の部分
死体遺棄の存在を推認させる事実かつBが自らの経験した事実を記載 = 非伝聞
→ 証拠能力あり

(イ)「甲は、俺の家で、いきなり『30分前に……V女の首を絞めて殺した。……」「乙もいて、『俺と甲の……死体を捨てるのを手伝ってくれ』と言ってきた。」の部分
→ 殺人および死体遺棄の存在を推認させる甲および乙の(公判廷外の)供述をBが聞いて記載 = 伝聞
→ 324条1項 → 322条を充足する必要あり
・甲・乙にとって不利益な内容を供述
・自発的にBに話している → 任意性あり
→ 証拠能力あり

2. 資料2の証拠能力
(1)被告人弁護人の同意(326条)なし
(2)死体遺棄の報酬に関するやりとりの存在 = 要証事実 → 非伝聞
(3)甲の携帯電話に保存されていた通信記録
→ BのPCにも同様の通信記録あり
→ BのPCはB本人しか使っていない
→ 通信時刻も矛盾なし
→ 甲との関係では証拠能力あり
→ 乙との関係では証拠能力なし