聞いた、見た、読んだ。

お気楽金融雇われ人の見聞録

夫は何をやっていたんだろう?

犯人の女性が被害妄想を抱くに至った背景として、日本の生活に馴染めなかったことなどを指摘する声がいくつか出ていますが、私は根本的な要因が家庭の中、もっといえば夫との関係にあったんじゃないかと思っています。全くの邪推ではありますが、犯人の女性の夫は、子育てを含めて家庭に積極的に(というかほとんど)関与していなかったんじゃないかという印象を持っています。

「周りの子が悪い」鄭容疑者、娘孤立と思いこむ?
滋賀県長浜市で17日、5歳の幼稚園児2人が刺殺された事件で、2人の同級生の母親で中国籍の無職鄭永善=日本名・谷口充恵(みえ)=容疑者(34)(殺人容疑などで逮捕)が県警長浜署の捜査本部の調べに対し、「自分の娘が(幼稚園で)ほかの子どもとなじめないのは、周りにいる子どもが悪い。このままでは娘がだめになってしまう。だから子どもを殺した」と犯行の動機を供述していることがわかった。
県警の捜査では、鄭容疑者の長女(5)が仲間はずれにされたなどの事実は確認されておらず、県警は、鄭容疑者がこうした思い込みから、近所の保護者が交代で複数の園児を送り迎えする「グループ送迎」で一緒に通う園児らへの憎しみを強めた可能性が高いとみている。(YOMIURI ON-LINE 2006年2月19日)

子育てに関して母親が不安を持つのは当たり前で(程度の差こそあれ)、その不安を共有して一緒に解決を目指すのが夫(父親)の仕事じゃないかと思うのですが。今回の事件は、いわゆる育児ノイローゼの母親が引き起こした事件といえると思いますが、育児ノイローゼになってしまった母親は、育児に関する不安を夫に共有してもらえないことが大きな原因になっているはずです(もちろん、一番に責任があるのは犯人の女性であることは間違いないのですが)。今回の事件でも、夫は彼女が何日も寝ていなかったようだとコメントしており、彼女が変調を来たしていることには気づいていたわけで、そんな状態になる前にもう少し何とかしてやれなかったものかと思います。

報道は、どちらかと言えば生まれ育った国の違いに着目して記事を組み立てているようですけれども、あまりその部分に注目しすぎるのはミスリーディングであるように思います。文京区のお受験殺人の時も犯人の山田みつ子被告と夫の関係がどうだったかということについて深く突っ込んだ分析はあまり眼にしなかったように記憶していますが、こういう事件の背景として影響が大きいのは、生まれ育った国・地域でもなければ、幼稚園の運営でもなく、家庭(夫婦関係)だと思うのですが…。