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タミフルの大量合成技術確立?

新型インフルエンザにも効くことが期待されている抗インフルエンザ薬タミフルについて化学合成に成功したというニュース。石油からの大量合成技術が確立されれば現在の世界的な供給力不足の緩和が期待できます。

東大、「タミフル」化学合成に成功・安定供給に望み
東京大学はインフルエンザ治療薬「タミフル」を植物原料でなく石油から化学的に合成することに成功した。タミフルは出現リスクが高まっている新型インフルエンザにも効くとされ、各国で備蓄が進んでいる。安定供給できる新技術として今後、実用化を目指す。(NIKKEI NET 2006年2月25日)

実際にはタミフル新型インフルエンザに効くかどうかは分からない(効かない可能性もある)ので、「新型インフルエンザに効く」という上の記事はミスリーディングではありますが、タミフル新型インフルエンザ対策の柱の一つとして、日本でも厚生労働省の「新型インフルエンザ対策行動計画」に基づいて備蓄が進められています。

ただ、タミフルの大量合成技術が確立されても、タミフルによる新型インフルエンザ対策にはもう一つボトルネックがあります。それはタミフルを入手するために医師の処方が必要であるという点。タミフルの副作用のことなどを考えればやむを得ないことではありますが、ここがタミフルの流通にとってのボトルネックになっています。従って、新型インフルエンザが大流行した場合「行動計画」では全医療機関新型インフルエンザの診断・治療を行うことを定めていますが、医療機関のキャパシティがパンクする可能性はゼロでは無いと考えておいた方が良さそうです。かといって、自宅や会社に内緒でタミフルを備えておこうとすると薬事法違反に問われる可能性があるので、これもお勧めできません。

というようなことを考えると、個人レベルでは結局「マスク着用、うがい、手洗い」の3点セットと(新型インフルエンザへの効果のほどは定かではありませんが)インフルエンザの予防接種のコンボ攻撃で、新型インフルエンザに感染するリスクを抑えることが最良の対策だということに変わりは無さそうです。