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お気楽金融雇われ人の見聞録

もういい加減センター試験の「一発勝負」は止めたら?

今年のセンター試験から導入された英語のリスニング試験ですが、案の定というか何というかあちこちでトラブルが発生したようです。

英語リスニング、故障などで436人が再テスト
今年から新たに英語のリスニング(聞き取り)テストが導入されたが、ICプレーヤーの故障などのトラブルが相次ぎ、同センターの22日午前1時半のまとめによると、全国で436人が再テストを受けた。同センターは今後、メーカーに原因を分析させる。
トラブルがあったのは、東京大や東北大、北海道大、京都大など。再テストの対象者は本試験の終了後に再テストを受け、音声が聞こえなくなったところから改めて解答した。(YOMIURI ON-LINE 2006年1月22日)

で、これを受けて大学入試センターの荒川理事長は、「今後は、原因を十分分析し、トラブルの数をゼロにしていくとともに、操作方法や説明についても改善したい」というコメントを出されていますが、どうしてこういう発想になってしまうんでしょう?

「それは努力の方向が間違ってますよ」と申し上げたい。1台1台ICレコーダーを配るやり方では、どうがんばってもトラブルゼロを達成することはありえないと思うのですが……。センター試験に英語のリスニングを課すのが良いかどうかはさておき、今回のトラブルはセンター試験を全国一斉に一発勝負で実施するやり方の限界を如実に表しています。

そもそもセンター試験なんて「大学に入学を志願する者の高等学校段階における基礎的な学習の達成の程度を判定すること」が目的なわけですから、現在のような全受験生共通の問題を使った一発試験である必要はないはずです。例えば2~3か月に1回くらいの頻度で開催して、出願前2年間で最もよかった成績を使って大学に出願するという方式にすれば良いのです。要するに米国に留学する学生にはおなじみのTOEFLやGMATと同じやりかたです。

大学入試センター側の運用の負担は高まりますが、開催ごとの問題の難易度の違いも(結果として)平準化されますし、何よりハズレのICレコーダー(笑)をつかまされても再チャレンジが可能です。受験生にしてみれば、ハズレのICレコーダーをつかまされるかも知れないというババ抜きのスリルと、挙句の果てに進路までねじ曲げられかねないという、学力を測りたいのか「運」を測りたいのかわからない今の試験方式よりは、よほど受け入れられやすいと思います。