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お気楽金融雇われ人の見聞録

官民協働で(仮想)敵に塩を送ってどうするよ…orz

ヤマハ発動機が軍事転用可能な無人ヘリコプターを中国あてに輸出していたようです。

ヤマハ発動機を家宅捜索 無人ヘリ不正輸出図った容疑
ヤマハ発動機(本社・静岡県磐田市)が、軍事転用可能な無人ヘリコプターを中国に不正に輸出しようとしたとして、福岡、静岡両県警の合同捜査本部と名古屋税関は23日、外国為替法違反(無許可輸出未遂)などの疑いで同社の本社など20カ所を家宅捜索した。経済産業省が同日午前、同社を刑事告発した。 調べでは、同社は昨年12月21日、危険物質の散布や偵察用など軍事目的に転用することが可能で、輸出する際には経済産業相の許可が必要と定められている無人ヘリ1機を許可を受けずに、中国北京市の航空撮影をする民間企業「北京必威易創基科技有限公司(BVE社)」へ輸出しようとした疑い。(asahi.com 2006年1月23日)

日本の経済界は、中国との友好関係を損ねるから靖国参拝を自粛しろなどと注文してしまうように、対中国関係においてある種すがすがしいまでに無邪気で無警戒な言動を見せることがしばしばありますが、今回の事件もその一つでしょう。ヤマハ発動機によれば、輸出していたヘリコプターは軍事転用は不可能なタイプということらしいですが、中国は何でもかんでも輸出して良い国ではないでしょうに。

ヤマハ発動機によると、01年から中国向けに産業用無人ヘリコプターをすでに9機輸出。05年12月、10機目をBVE社に輸出しようとした際に、名古屋税関から書類の不備の指摘があり、その1機はまだ輸出していないという。
会見した大坪豊生取締役は「違法性の認識はなかった」と話した。
(略)
一方、経産省は「ヤマハ発動機は輸出規定を熟知していたはずで、今回の輸出はミスではなく、意図的だったと判断している」とし、福岡県警は輸出されるはずだった中国の取引先企業について「中国人民解放軍との関係が推認される」としている。(同上)

ただ、経済産業省によるヤマハ発動機刑事告発は目くらましのような臭いがします。記事を読む限りヤマハ発動機によるヘリコプターの輸出自体は2001年から行われており、今回発覚したきっかけが輸出書類の不備だったということですから、事実とすればその間の経済産業省の不作為の罪にもスポットライトが当たってしかるべきでしょう。これまでの9機が特にお咎めもなく輸出できていたのであれば、そりゃ「違法性の認識はなかった」としても当然です。輸出書類の不備が見つからなければ、経済産業省のお墨付きで堂々とヘリコプターが輸出され続けていたわけですから、経済産業省の不作為もヤマハ発動機と同罪なんじゃないでしょうかね?

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