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ウクライナ大統領選挙での疑問

ウクライナの大統領選挙が大混乱に陥っている。

11月29日午前中の段階では、野党のユシチェンコ候補側が、臨時政府「救国委員会」を作り、大統領の監禁をちらつかせて、対立候補であるヤヌコビッチ首相の罷免を求める「最後通告」を突きつけるなど、殆どクーデター状態である。

これに対抗するため、ヤヌコビッチ候補側は支持基盤の東南部の州を纏めて地域連合を結成、独立も辞さない構えを見せている。

見解が分かれるところだとは思うが、これまで見たところ、日本の報道は、どちらかといえばユシチェンコ候補寄りのものが目立つ。つまり、「選挙不正も辞さない民主的でないヤヌコビッチ首相に対し、民主化を求めるユシチェンコ候補が立ち上がった」的な構図を前提とした上での報道が多いように見える。

ただ、事態の流れをよくよく見ると、
  • ユシチェンコ候補が、ヤヌコビッチ候補による選挙不正に対する抗議デモを実施
  • クチマ大統領が、両候補の会談の場を提供
  • 与党が多数を占める最高会議(ウクライナの国会)が大統領選挙結果の無効を決議、再投票を勧告
  • ユシチェンコ候補陣営が、臨時政府を樹立、行政府を包囲、ヤヌコビッチ首相の解任を要求
  • 臨時政府が、ヤヌコビッチ候補側の地域連合設立に賛成した州知事の解任と刑事訴追を要求
と、与党側の選挙不正が事実だったとしても、ユシチェンコ候補は必要以上に強硬な態度に出ているように思えるが、ウクライナではこれが普通のことなのだろうか?

ユシチェンコ候補側にしてみれば、再選挙に持ち込めれば、欧米各国の選挙監視の中(本来望ましい選挙のあり方ではないが)、「公正な」選挙の結果として大統領に就任できるはずであり、再選挙を歓迎こそすれ、むやみに強硬な行動に出るいわれは無い。

にもかかわらず、クーデターまがいの行動に出るユシチェンコ候補を見ていると、何か裏があるのでは?と勘ぐりたくもなる。

おそらく実際のウクライナの民意は、ヤヌコビッチ候補側にあるのだろう。

[関連投稿]
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