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お気楽金融雇われ人の見聞録

包括根保証制度の廃止

25日に改正民法が成立し、包括根保証制度が廃止されることになった。

包括根保証は無期限かつ無限度の保証で、中小企業の銀行借入にあたり、経営者が銀行に対して差し入れるケースが一般的。中小企業の経営が行き詰まり債務返済が不可能になると、保証人(多くの場合中小企業の経営者)が多額の債務の肩代わることになり、結果として身包み剥がされてしまうことにつながり易かった制度である。

今回の改正で、債権者が保証を取る場合は期限と限度額を明示しなければならなくなるため、保証人が突然巨額の保証債務の履行を請求されるケースは少なくなるだろう。一方、銀行は、これまで(担保に取れなくても)最終的な回収原資と認識してきた経営者の資産が、これからは明示的に担保設定しない限り貸し出しの担保と認識できなくなる。

銀行としては新たに担保を取りたいところだろうが、経営者もこれまで担保にしていなかったような物件を担保に差し出すことには当然抵抗する。となると、銀行から見た担保の減少に対する付けは貸出金利に跳ねることになるだろう。

現在、大手行がこぞってキャンペーンを展開している中小企業向けの無担保融資は、担保がいらない代わりにその企業の信用状態によって金利に差が出る仕組みとなっている(儲かっている企業ほど低い金利で貸し出しを利用できるらしい)。

信用状態によって金利に差が出るのは当たり前といえば当たり前なのだが、これまで暗黙のうちに包括根保証による担保力の効果を享受してきた、経営に問題の無い多くの中小企業にとっては、包括根保証が無くなる代わりに金利引上げの要請に晒されることになるわけで、痛し痒しかもしれない。