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お気楽金融雇われ人の見聞録

再び北朝鮮への経済制裁

ここ数日北朝鮮から立て続けにニュースが流れて来ている。

いわく、
  • 外国人が出入りする場から金正日総書記の肖像画が外された(これは数日後に復活)
  • 北朝鮮のニュースで金首席の「美称」が付けられなくなった(これも数日後に復活)
  • 海外向けに接点のある職員から金正日バッジが外させた
  • 北朝鮮が六か国協議の開催を望んでいることを国連大使に言伝た
  • 同じく国連大使アメリカと協調したいと言伝た
などなど、これまでの北朝鮮からはあまり出てこなかったニュースばかりである。

一方で、など、あまりにこれまで通りのニュースも出ている。前者のニュースがどちらかといえば北朝鮮の歩み寄りをイメージさせるニュースだとすれば、後者は北朝鮮の不誠実さを裏付けるニュースと言える。

一見矛盾した北朝鮮の態度は、何を意図しているのだろうか?

これは、北朝鮮が日本を挑発し、日本単独の経済制裁実施を誘っているのだと思う。

日本は単独で経済制裁を発動した場合、金正日体制を崩壊させない限り、その後の攻め手を失ってしまう覚悟が必要である。そして、中国やロシアが同調しない経済制裁では、金正日体制を崩壊まで追い込むことは難しい。(北朝鮮への経済制裁)

そうなれば攻め手を失った日本に対し、北朝鮮拉致被害者のことは知らぬ存ぜぬで幕引きを図るだろう。これは日本としては絶対避けるべきシナリオである。

一方で、北朝鮮が今最も避けたい事態は何かといえば、それはフセイン時代のイラクのような国連安保理決議に基づく経済制裁、世界からの村八分であろう。こうなると、ただでさえ食糧難にあえぐ北朝鮮は、内部から崩壊するか、暴発して外部から制圧されるかする可能性が高いと思う。

したがって、今の日本が切り札に出来るのは経済制裁だけである以上、この切り札を切るタイミングはよくよく考える必要があり、今はまだその時期では無い。

ただ、まったく経済制裁をする気が無いと思われても足元を見られるので、北朝鮮にプレッシャーをかけ続けるべきである。そういう観点から見ると、政府が国内的には弱腰とも思える態度で対話を継続する一方、家族会や与党が強硬策を主張して政府を突き上げるという、現在の役割分担は相当効果的にプレッシャーを与えているのだと思う。


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