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お気楽金融雇われ人の見聞録

西武鉄道の再上場は可能か?

上場廃止となった西武鉄道が、「西武グループ経営改革委員会」を設立して、グループの再編に乗り出すことが決まった。

西武鉄道上場廃止となった直接の原因は、株式の分布状況にかかわる東証上場廃止基準(少数特定者持株数)に抵触したことである。今回のケースでは、特に長年にわたる虚偽報告が発覚したという点で、大変異質なケースと言える。

以前の投稿でも書いたとおり、公開情報だけが頼りとなる株式市場の根っこの部分を揺るがす行為であり、東証による上場廃止処分は、至極当然の処置である。

一方で西武鉄道にしてみれば、このまま非上場株式として低い流動性のもと、市場から退場したままでもいられないため、再上場を目指すという「方針」は理解できる。

西武鉄道が再び株式市場に上場できるか否かは、東証なりジャスダックなりが審査することなので、西武鉄道自身がコントロールできるものではないが、再上場を目指すためには、少なくとも3つのハードルを越える必要がある(ここでは株主構成の虚偽報告をさせたであろう堤前会長の道義的責任の追求は除く)。
  1. コクドと西武鉄道の間の資本関係の整理
  2. インサイダー取引疑惑の究明と再発防止策の実施
  3. (堤前会長に保有株式を放出させる場合)安定株主の確保
いずれも簡単に解決できる課題ではないし、再上場が認められるためには、解決策として新たに構築した枠組みが有効に機能することを証券取引所に認めてもらう必要がある。

そのほかにも、西武ライオンズなど収益性の低い事業を整理するかしないかという問題もある。これら多岐にわたる課題に対して、透明性を確保しつつ、解決策を実施しなければならないため、再上場は一朝一夕には実現しないだろう(2005年3月までに再上場などは論外だと思う)。外野にいる人間としては、西武鉄道がこれらの課題にどのような回答を導き出すのか興味深く見ていきたい。

ただ、西武鉄道が山積みの課題に見事な回答を与え、晴れて再上場できるその時まで保有株式を塩漬けにしても構わないという投資家(いわゆるハゲタカファンドなどが該当?)にとっては、現在の西武鉄道株は格好の投資対象になりうるのかもしれない。


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