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お気楽金融雇われ人の見聞録

義務教育費国庫負担金

三位一体改革の政府案、なんとか枠組みだけは与党と合意した

三位一体改革は「一般財源に占める地方税の割合を着実に引き上げ、地方交付税への依存を下げる」という点がキモの制度変更であり、国から地方へのカネの配り方を改めるという話である。

これまでのところ、カネを取り上げられる省庁がいわゆる族議員を巻き込んで、激しく抵抗するという予想通りの展開になっている。最終的にどのような形で決着するかは正直よくわからないので、引き続き政府と与党のバトルを見守るつもり。

今回の一連の議論の中で、にわかに三位一体改革の目玉扱いになった感のある義務教育国庫負担金については、「中央教育審議会で05年秋までに結論を得る」として実質先送りになった。

…ん?中央教育審議会は、おカネの話をするところだったっけ。中央教育審議会のホームページを見てみると審議会の所掌事務は、主に「教育制度の問題、生涯学習の問題、スポーツ振興の問題の調査審議、文部科学大臣への意見具申」とされている。

要するに中央教育審議会は、教育・スポーツにかかわる枠組みやコンテンツを考える機関ということ。義務教育のコンテクストで言えば、「そもそも義務教育として教えるべきことって何ぞや?」というようなことを審議する場だと想像するが、ここで国と地方のおカネの分担の話をすることはふさわしいことなんだろうか?

まぁ文部科学省としては、可能な限りクリンチをして、自らの権限を削ることとなる義務教育費の国庫負担金の削減を先送りないし葬り去りたいというところなのだろう。

一方で中央教育審議会には、今年の3月に河村前文部科学大臣から「地方分権時代における教育委員会の在り方について」という諮問がされており、文部科学省自身が、市町村レベルで地域の状況に応じた教育行政をどう展開するかという問題意識を披露している。

地方分権と教育行政についての中央教育審議会での議論はまだ論点整理の段階なので、義務教育の議論を絡めると、今後の展開がどうなるかわからない。ただ、今日のニュースでは麻生総務大臣が、中央教育審議会の議論に地方6団体の代表を加えるよう要求しているようなので、実現すれば地方6団体の意見が直接審議会に届くことになる。

文部科学省中央教育審議会を使ってクリンチしたつもりが、自らに止めを刺す結果を呼び込んだような気がしないでもない。


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ゆとり教育全面見直し?(2005年2月16日)