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お気楽金融雇われ人の見聞録

銀行の証券仲介業参入

12月から銀行が証券仲介業を営むことが解禁される。

金融業界の規制緩和策の目玉として、長いこと議論が繰り返された末にようやく実現した施策ではあるが、もう少し早く実現できなかったものかね?三菱東京フィナンシャル・グループMTFGプラザのように共同店舗の形で、銀行の窓口に出かけた顧客が、必要に応じて証券会社や信託銀行の窓口へいけるスタイルの店舗ができており、規制自体が有名無実化してしまった後なので、いかにも実施時期を逸した感が否めない。

そもそもこの規制緩和は誰のために実施されるのだろう?

証券会社、特に中小の証券会社から見れば、銀行による窓口販売は、ネット証券に続く新しい商売敵の登場であるから、うれしいわけない。

銀行から見れば、窓口で販売できる商品が増えるのは、品揃えの観点からはよいのかもしれないが、すでに投資信託や保険の窓口販売も行っており、どのくらいのインパクトがあるかよく分からない。

消費者から見れば、共同店舗内の証券会社の窓口で株を売り買いするのと、銀行の窓口で株を売り買いするのは、それほど差がないし、買いたい株の銘柄が決まっているのであれば、ネット証券を使った方が手軽なのは間違いない。

こうして見ると、今回の解禁によって目に見えるメリットを受けられる人はほとんどいなさそう。何のため、誰のための規制緩和なのだろう?

このようなやや時期を逸したと思われる施策を排除していくためには、民間企業が決算についての外部監査を受けたり、アナリストによる評価を受けるのと同じように、金融庁の施策についても、外部の第三者が有効性や適時性などの観点から評価を行うような仕組みが必要なのだろう。


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