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お気楽金融雇われ人の見聞録

持病の発作で意識を失っている間の事故

登校の列に車、6人死亡 栃木・鹿沼 クレーン運転手逮捕
18日午前7時45分ごろ、栃木県鹿沼市樅山町の国道293号で、登校中の小学生の列にクレーン車が突っ込んだ。市立北押原小学校の児童6人が病院に搬送されたが、男児5人と女児1人の6人全員が死亡した。
鹿沼署は自動車運転過失傷害の現行犯で、クレーン車を運転していた同県日光市大沢町、運転手、柴田将人(まさと)容疑者(26)を逮捕した。容疑を同致死に切り替え、調べる方針。柴田容疑者からアルコールは検知されていない。
(2011年4月19日 産経新聞

とても痛ましい事故。亡くなった小学生のご冥福をお祈りします。

その後の報道によれば、事故を起こした運転手は、事故の直前に持病の発作を起こして気を失っていた可能性が出ている。同じような事故が三重県でも起こっていて、裁判が始まっているけれど、自動車の運転中に発作を起こして意識がない状態で事故を起こした場合、刑法上はどう考えるんだろうか。

考えるべきは、上の記事にもあるとおり、自動車運転過失傷害(致死)罪なんだろうけれど、何をもって「過失」と考えるかが問題。結果回避義務違反と言っても、事故発生時に運転手が気を失っていたので、意識がなければ結果を回避するための何らかの行為といってもやりようがない。そこだけ切り取れば本人はどうしようもなかったという話になってしまう。

そこで、本人が意識を失うに至った先行行為に事故を起こす原因となる過失があって、その過失に事故原因との因果関係を認められれば、それを結果回避義務違反と考える、というのはどうだろう。いわゆる「原因において自由な行為」の過失犯版。

今回の事故で言えば、運転手は持病があることを認識していて、普段から薬を服用していたとのこと。前日薬を飲むのを忘れて事故を起こした朝に飲んでいた、というような報道もある。

だとすれば、①運転手には意識を失う可能性がある持病があって本人もこれを認識していた、②薬を飲めば発作を抑えられ、本人も認識していた、③にもかかわらず夜に薬を飲むことを忘れて、次の朝飲んだ、④そのため運転中に発作が起きて意識を失った、というような流れで、運転手の過失を認めていくのだろう。

本人は持病があることを隠して、運転免許の更新もいていたようだから、それも運転手の過失を認める方向に働く状況証拠にはなるかな。

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