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お気楽金融雇われ人の見聞録

茶店が仁和寺を訴えた

営業取りやめは「一方的な契約解除」 茶店が「御室桜」の仁和寺を提訴
京都市右京区世界遺産仁和寺で、花見シーズンの茶店の営業を一方的に打ち切られたとして、茶店の経営者3人が同寺を相手取り、営業権の確認などを求める訴訟を京都地裁に起こしたことが20日わかった。提訴は3月22日付。
訴状などによると、茶店は約1カ月限定で、経営者らが寺側の許可を得て継続的に営業。国の名勝「御室桜」の近くですき焼きなどを客に販売していたが、今年1月に寺側から営業取りやめの通告があった。原告側は毎年、賃料約60万円を寺側に支払い、御室桜の管理も無償で行っており「店の営業には法的な契約関係があった」と主張。「何の相談もなく打ち切られたのは一方的な契約解除にあたる。権利関係を確認したい」としている。
(2011年4月20日 産経新聞

茶店が求めているのは、寺の境内、それも「御室桜」の近くで茶店を営業できる権利の確認。

細かい事実は分からないけれど、記事の通り、賃料約60万円を毎年支払っていたのであれば、何らかの契約があったと思うんだけど。昔からのことで、契約書なんかは交わしていないのも知れないが、それならそれで茶店としては不動産賃借権の時効取得を主張するのだろう。

問題は、賃借権の範囲に「御室桜」の近くですき焼きを販売するための営業権が含まれているかどうかという点。

普通に考えれば、不動産賃借権が成立していれば、不動産を使用・収益することが可能と考えられるけれど、おそらく今回のケースは、賃借権が成立している可能性があるといっても、成立している部分がはっきり決まっているわけでもないだろうし、「御室桜」のある場所が賃借権の範囲に含まれているというわけでもないのだろう。そうすると、漠然と賃借権が時効取得されていると言っても、それだけで「御室桜」のそばで茶店を営業する権利を認めるには弱いかな。

一方、無償で「御室桜」の管理をしてきたという事実の積み重ねは、これを寺から茶店に対する黙示の委任があったと評価するか、事務管理があったと評価することができれば、茶店の営業権を、委任または事務管理に対する事実上の報酬だったとみることができるかも。ただ、それでも委任はいつでも関係を解除できるし、事務管理は本人の意に反して継続できないという問題が残る。

あとは、継続的取引関係に対する茶店側の期待を、寺が一方的に破棄したことに対する信義則違反を主張するくらいか。

心情的には茶店に味方したいところだけれど、ちょっと厳しいかな。

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