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お気楽金融雇われ人の見聞録

これでは裁判所に価格決定権を与えている意味がないね

楽天保有のTBS株、取得の半値以下が確定 買い取り訴訟最高裁が抗告棄却
楽天保有する東京放送ホールディングス(TBS)株の買い取り価格を巡り、双方が合意できずに司法判断を求めた問題で、最高裁第3小法廷(田原睦夫裁判長)は20日までに、1株1294円とした東京高裁決定を支持し、同決定を不服とした楽天側の抗告を棄却する決定をした。TBS側の主張に近い金額で決着することになった。決定は19日付。
楽天のTBS株の平均取得価格は約3100円。楽天側は認定会社移行が企業価値を損なったとして、移行発表前の株価を織り込んだ、より高い価格での買い取りを求めていた。
(2011年4月20日 日経新聞

結局、去年地裁で決定した水準のまま、高裁、最高裁と通ってしまったわけですか。

TBSの株価推移を見ると、2007年初頭まで上がったあと、2008年末までの2年ほどで、株価が3分の1になっているからなぁ。株価下落のリスクは株主が負うというのは当然ではあるけれど、2年間で企業価値を3分の2毀損したのは、楽天がTBS株の取得を進めたことだけが理由でもないだろうに。

それを、

同小法廷は決定理由で、反対株主が買い取りを求める場合の価格の決め方は、裁判所の裁量に委ねられていると指摘。価格決定の基準日を「買い取り請求のあった日」とし、認定会社移行による企業価値の変動はなかったと認定して、楽天が買い取りを求めた09年3月31日の終値である1294円をそのまま買い取り価格とした昨年7月の東京高裁決定を「結論として是認できる」と判断した。

としてしまうのはいかがなものか。

会社法が最終的に裁判所に価格決定権を与えているのは、会社と株主の間の関係や経緯を踏まえて、公正妥当な水準に買取価格を決定することを期待してのものでしょ。

それを、買取請求のあった日を価格決定の基準日として、当日の終値をそのまま買い取り価格にする、というような機械的な決定しかできないのであれば、市場で売却するのと変わらないんだから、裁判所の裁量なんていらないでしょ。何の付加価値もないんだから。

会社法の施行規則に「公正な価格」=「買取請求日の終値」と規定しておけば済むんじゃないの?

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