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お気楽金融雇われ人の見聞録

自見大臣の発言は「表向き」のコメントと理解するけれど

仙台銀の公的資金申請検討、地域経済支援最優先の姿勢を評価=金融相
自見庄三郎郵政・金融担当相は12日の閣議後会見で、仙台銀行が10月に予定していたきらやか銀行<8520.T>との経営統合時期の延期と公的資金注入の申請を検討すると前日に発表したことに触れ「地域に根差す金融機関として、大震災の復興に向け地域経済への支援を最優先し全力を尽くすものと評価したい」と述べた。
(2011年4月12日 ロイター)

震災被害者に対する金融面の支援は絶対必須だから、「公的資金を入れるな」なんて言わないけれど、復興資金として必要な資金は、復興用のファンドを設けて注ぎ込むべきで、金融機関側からの「申請」を待つ必要はないはず。仙台銀行だけが復興支援をするわけではないからね。

仙台銀行は、もともと貸出金が5,000億円、業務純益が1,000~1,500億円くらい、自己資本が200億円弱の銀行。この中間期は有価証券に関する減損処理(損失処理)が25億円あって赤字を計上したり、苦しい経営を強いられている銀行ではある。だからこそ、きらやか銀行との経営統合なんて話になっていたわけだ。

さらに仙台銀行は「地域密着金融」をスローガンに仙台地区での貸出に特化している銀行だから、今回の地震で被災した仙台地区の企業や個人に対する貸出金は、予定通りに返済されなくなるだろう。今後、貸倒引当金を増額したり、貸出金の償却を行わなければいけないケースが多く出てくるだろう。これらの処理は、銀行の収益を圧迫する要因になる。ただでさえ厳しい収益が、さらに厳しくなってしまうということ。

とすると、自見大臣が評価するのとは裏腹に、公的資金仙台銀行自身の破綻を防ぐための資金だろうと想像がつく。自見大臣の発言は、金融パニックを防ぐための「表向き」のコメントなんだと理解するけれど、美しい言葉でもって本質的な問題を覆い隠すような発言はしない方がいいと思うな。

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