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お気楽金融雇われ人の見聞録

東電は金融面も長期的な問題として残りそう

東京電力 経営悪化、不可避に
東京電力が金融機関に最大2兆円規模の緊急融資を要請したのは、福島第1原発事故への対応や発電所復旧などで、どの程度の資金が必要になるか見通しが立たないためだ。金融機関からは「民間だけで支えるには限界がある」との声も出ており、政府は日本政策投資銀行を通じた危機対応融資も検討する見通しだ。
(2011年3月24日 毎日新聞

ちょっと古いデータだけど、昨年3月期の決算では東京電力の営業収益は約5兆円、対する営業費用は約4.7兆円なので、営業利益は3000億円ほど、ということがわかる。原子力で発電している分を火力で置き換えると5000~6000億円かかるということだから、赤字転落は確実ということですな。

で、

東電は従来、主に社債発行で市場から運転資金や設備投資資金を調達してきたが、原発事故で経営の先行き不安が強まり、信用を裏付けとした市場調達は難しい。昨年末の手元資金約6700億円では当座を乗り切ることが難しく、金融機関に協力を仰ぐ選択肢しか残されていなかった。

ということなのだが、金融機関からの融資だって信用を裏づけとしているわけなので、この書き方はいかがなものかと。

銀行サイドも結構厳しいはず。なぜかというと、銀行ひとつで東電1社に2兆円融資するのは、3メガであっても無理だというのが1点。また、赤字企業に融資する場合は、健全な企業に融資する場合に比べて、貸倒引当金を余分に計上しなければいけないので、場合によっては、貸せば貸すだけ赤字になってしまう可能性だってある、というのが2点め。

まずは、原発の挙動を落ち着かせること、それから代替の発電所の稼動を急ぐことが優先課題なのは間違いないけれど、それらが落ち着いた後の金融面の手当て・建て直しもかなりの長期戦になるのは間違いないな。

そういう意味で、みんなの党の渡辺代表が言う「東電国有化」というのも、ありえないシナリオではないね。

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