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お気楽金融雇われ人の見聞録

憲法34条違反で勾留決定取消

「弁護士へ連絡を」拒否は違法 奈良地裁が拘留取り消し
大麻取締法違反(譲り受け)容疑で奈良県警に逮捕された京都府宇治市の自営業の男性(32)について、奈良地裁橋本一=はじめ=裁判長)が「弁護士への連絡要請にすぐに応じなかった捜査員の行為は違法」として奈良簡裁の勾留決定を取り消したことが分かった。男性は釈放された。
…男性は捜索の最中、「弁護士に電話したい」と求めたが、捜査員は「捜索中だから後にしてほしい」と拒否。男性は21日、私選弁護人と接見できたが受任を拒否され、22日に弁護士会から派遣された国選弁護人が付いた。
男性は「譲り受けた覚えはない」と容疑を否認。弁護人は、簡裁による10日間の勾留決定を不服として準抗告し、地裁は28日、「捜査員の行為は(憲法34条が定める)弁護人依頼権を侵害し、違法であることは明白」と判断し、勾留決定を取り消した。県警は任意で捜査を続ける。
(2011年2月4日 朝日新聞

確かに憲法34条に弁護人依頼権は定めてあるけれど、いきなり憲法持ち出すか?と思っていたが、よくよく考えたら「家宅捜索⇒大麻発見⇒逮捕」という流れの中で弁護人を依頼できるということは、明文で定められていなかったような……。

家宅捜索のとき(刑訴法218条)も現行犯逮捕(刑訴法212条)も弁護人を依頼できる旨を告げるようには定めていない。最初に出てくるのは被疑者が逮捕されたあとなんだよな。

司法警察員は、逮捕状により被疑者を逮捕したとき、又は逮捕状により逮捕された被疑者を受け取つたときは、直ちに犯罪事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨を告げた上、弁解の機会を与え、留置の必要がないと思料するときは直ちにこれを釈放し、留置の必要があると思料するときは被疑者が身体を拘束された時から四十八時間以内に書類及び証拠物とともにこれを検察官に送致する手続をしなければならない。 (刑事訴訟法203条)

考えてみれば、麻薬捜査のように家宅捜索が逮捕に先行して、ブツを見つけられたら即逮捕という流れの場合、家宅捜索がかなり違法なものであっても、これをけん制・防止する手段が無いというのは、問題があるかも。いきなり憲法を持ち出したのも、刑訴法に該当文言がないことの裏返しだろうし。

この辺りも捜査・取調べの透明化の文脈の中で見直しがなされるといいのだけれど。

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