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お気楽金融雇われ人の見聞録

即身成仏の次は所在不明か……

異変気付かず、生存確認せぬ間に113歳不明 東京都内最高齢の女性が所在不明になっていることが2日、明らかになった。
記録通りなら113歳になっている杉並区の古谷(ふるや)ふささん。20年以上も住民登録があった杉並区は最近も、面会や電話での所在確認をしていなかった。
足立区でも先月、戸籍上111歳の男性が白骨体で見つかったばかり。古谷さんはいったい、どこにいるのか。住民同士や家族のつながりが希薄になった社会で、高齢者の生存確認すらままならない実態が浮き彫りになった。 (2010年8月3日 読売新聞)

即身成仏」した足立区の111歳のおじいさんといい、今回の「所在不明」とやらの杉並区の113歳のおばあさんといい、おじいさん・おばあさんが亡くなった後、家族が死亡届をおそらくは意図的に出していなかったというだけの話でしょ。まぁ足立区の方は年金を不正受給する気で意図的にやっていたと思われるのに対し、杉並区の方はそこまでのことではなさそうだという違いはあるかもしれないが。

一般には死亡届を出さなければ火葬許可も出ないし、火葬しなければ埋葬許可も出ない。亡くなった縁者を弔ってあげようという気がある家族であれば、死亡届を提出するはずだから、今回の一連の騒ぎは属人的、属家族的な問題と考えるべきで、メディアは不用意に「住民同士や家族のつながりが希薄になった社会」なんて社会全体の問題に拡散させるべきじゃない(期待するだけムダだけど)。

それはともかくとして、立て続けに発覚した2件の事件から考えるべきは、自治体による「住民登録の実態調査」の運用が、局面によってあまりに異なるということだろう。

実際問題としては、自治体による住民登録の実態調査っていったって、直接会いに行くくらいしかないだろうから、手間もコストもかかるし、そんな厳密なことができるわけではないだろうことは想像できるし、理解できる。

でも、一方で派遣村経由などで、シェルターに住民登録したものの、数ヶ月ネットカフェで暮らしていただけで「居住実態なし」として生活保護を打ち切ってしまうなんていう扱いと比べるとアンバランスにもほどがあるんじゃないの?

もちろん、年末年始の派遣村派遣村で、支援を受けた人たちが支援金を酒やパチンコに費消してしまっているという話もあって、それはそれで道義的にどうよ?と思わなくもないけど、それにしたってどちらも税金が原資になっていることは変わりがないわけで、不正や無駄がないように運用しなければならないというのは同じはず。

にもかかわらず、かたや住民登録があるというだけでほとんどノーチェックでお祝い品が送られてくるのに、かたや数ヶ月のサイクルで居住実態の調査がされて保護が打ち切られてしまう。どちらも居住実態が無いという点では同じなのに、「住所」のある/なしで、これだけ扱いが違ってしまうっていうのは、個人的にすごく気になるし、憲法14条を持ち出すまでもなく問題ありだろう。

まぁ自治体の長寿祝いなんて金額的には微々たるものだろうし、住民登録を検索してお祝い品を送るだけの書類仕事だから、まともな所在確認もなく惰性で続いちゃうんだよね。だからといって、まじめに所在確認して本人の意志を確認してお祝いを出しましょう、なんてやりだすと、コストかかるわけだから、いっそのこと止めてしまえばいいのにね。誰一人困らないと思うけど?

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