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お気楽金融雇われ人の見聞録

「法曹人口問題」が最大争点ねぇ…

日弁連会長選、10日に初の再投票 弁護士増巡り地方票を争奪
日本弁護士連合会の次期会長選挙の再投票が10日、実施される。現執行部の路線を継承する前副会長、山本剛嗣氏(66)=東京弁護士会所属=と、多重債務問題や貧困問題への取り組みで知られる宇都宮健児氏(63)=同=の一騎打ちだが2月の投票で決着がつかず、異例の「再試合」となった。「法曹人口問題」への対応が大きな争点だが「東京や大阪の弁護士の影響力が強い日弁連の運営に、地方が反発した」との声も漏れる。
(2010年3月8日 日経新聞

部外者が口を出すことではないけど、「法曹人口問題」なんかが会長選挙の最大の争点になっているようではね…orz

「法曹人口問題」なる話題が弁護士会から出てくるときは、二言目には「現在の司法試験になって、弁護士人口が増加したので、弁護士の質が低下した」というコメントが旧司法試験を経た弁護士から出てくるが、報道に乗っかる弁護士の不祥事は旧司法試験を経た弁護士のものが大部分という点について、コメントされているのは寡聞にしてみたことがない。

平成18年から現在の司法試験に移行したわけだが、昨年まで4回の試験で合格した者の数は7000人弱。対して日弁連のHPによれば、2008年時点の登録弁護士数は25,000人強。
合格者全員が弁護士になるわけではないし、修習中の人もいることを考えれば、現行司法試験で弁護士になっている人は、弁護士全体の2~3割くらいのイメージ。

不祥事を起こす弁護士も同じくらいの割合のはずだが、実際は現行司法試験の弁護士の不祥事情報はあまり見ない(見ないだけで頻発しているのかもしれないが、それは旧司法試験組だって同じことだろう)。
ここから導かれる結論がどういうものかは明らかだろう。

このあたりのことに口をつぐんだまま、現行司法試験組の質が低いなどという口実で法曹人口問題を語っているようでは、まるで説得力がない。
しかも、弁護士が増えすぎると「食っていけない」という切実な話もあるのはわかるけど、弁護士バーの開業すら非弁行為だなんて待ったをかけるところを見ていると、「法曹人口問題」なるものに対して、地に足の着いた議論がなされているとはとても思えない。

「要するに今いる弁護士のパイを守りたいだけなんでしょ?」
と言われた時に、どんな回答が帰ってくるんだろう?

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