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お気楽金融雇われ人の見聞録

教育現場を破壊する勢いの教育「再生」会議のアイデア

しかし、この教育再生会議という代物は、「教育を再生する」ことが目的なんだろうに、教育現場を破壊するようなアイデアばっかり豊富に出してくるな。

再生会議「人事権は校長に、不適格教員クビの仕組みを」
政府の教育再生会議は30日午前、都内のホテルで「学校再生」をテーマにした第1分科会(主査・白石真澄東洋大教授)を開いた。現在は都道府県教委が握っている教員人事権について、市町村教委や校長に委譲する仕組みを具体化する方針を決めた。
この日の会合では、指導力が不足するか適性に欠ける「不適格教員」について議論が集中。参加者から「教員の全体数からみて、不適格の認定が少ない」「現状では、不適格教員を辞めさせる仕組みが整っていない」といった問題点の指摘が相次いだ。
対策として、校長・生徒・保護者の3者による教員評価制度や、不適格教員を辞めさせる適正な仕組みについて検討を深める。また、多様な人材を教員に採用することで、教員全体の指導力を向上させていくべきだとの認識で一致した。(産経新聞 2006年11月30日)

実際のところ教員に向かないとか指導力が足りないという「不適格教員」に該当する教員はある程度いるのだろうけれど、「教員の全体数からみて、不適格の認定が少ない」みたいな印象論が前面に出ているというのは唖然とする限り。「不適格教員」について客観的な判断基準を示した上で、ヒアリングや面接を含めた調査をしなければ「不適格教員」の数や割合なんてわからないだろうに。まさか「2:6:2の法則」を安直に適用して、「2割は不適格教員がいるはずだ」なんて思っているんじゃないだろうな?

「現状では、不適格教員を辞めさせる仕組みが整っていない」みたいに辞めさせることを前提に議論を進めておいて、「多様な人材を教員に採用」って……。この程度の粗雑な議論で「不適格教員」の認定がなされて、有無を言わさず教員の身分と職を奪われてしまうようになったら、教員を目指す人間なんていなくなってしまうんじゃないか?

まずは「多様な人材」が教育現場を目指したくなるようなニンジンなり何なりを準備することを考える方が、よほど健康的だし実効的だろうに。