聞いた、見た、読んだ。

お気楽金融雇われ人の見聞録

入学金=「オプションプレミアム」

ということが改めて確認された判決でしたね。

「契約法施行後は授業料返還」 最高裁、前納金返還訴訟で初判断
日本大、同志社大など私立大20校の入学辞退者計34人が前納した入学金、授業料などの返還を各大学側に求めた訴訟16件の上告審判決が27日、最高裁第2小法廷で言い渡された。
第2小法廷は「平成13年4月の消費者契約法施行後の合格者で、年度の始まる前に入学辞退を表明した場合、大学側は授業料などを返還しなければならない」との統一判断を初めて示した。
同法施行前の辞退者の返還請求は棄却し、入学金も「大学に入学できる地位を取得するための対価」として返還義務を認めなかった。
また、実際に発生した損害を超える事業者側の違約金請求を無効とした消費者契約法の規定を合憲と判断した。(産経新聞 2006年11月27日)

今回の判決では、入学金の性質を「学生が当該大学に入学し得る地位を取得するための対価としての性質を有するもの(判決文)」とし、さらに在学契約の解除について「大学との間で在学契約等を締結した学生が、当該大学において教育を受けるかどうかについては、当該学生の意思が最大限尊重されるべきであるから、学生は、原則として、いつでも任意に在学契約等を将来に向かって解除することができる(判決文)」としたわけですが、これって要するに「在学契約」は、入学するかしないかのオプションを入学予定者が保有し行使できる代わりに、学校側はプレミアムを受け取るというオプション取引だというこですよね。

ざっと調べてみると既に私立大学の入学金の額は学校によってバラつきがあるんですね。学校のブランドによるオプションプレミアムの値付けは出来上がっているということなんでしょう。みんながいきたい大学であればオプションプレミアムは上昇し、それほどでもない大学であればオプションプレミアムは下落し、入学後でなければ受け取れない「本当」の入学金にまでなってしまうということですか。

そう考えると、年度が始まる前や始まって早々に辞退した場合の前納授業料の返還はともかく、入学金の返還を求めて訴えるというのは、原告にとってはちょっとハードルの高い話だったかもしれません。