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お気楽金融雇われ人の見聞録

法科大学院生として気になるネタ二つ

司法修習生の“落第”過去最多の107人
最高裁は28日、9月に実施された司法修習の卒業試験の結果を発表した。
受験した修習生1493人のうち107人が、「不合格」または「合格留保」で、法曹資格の取得が見送られた。落第した人数、割合(7・2%)とも、過去10年で最多で、100人を超えたのは初めて。
司法制度改革の一環で司法試験合格者数が年々増える中、質の確保が問題になりそうだ。
司法修習は、司法試験の合格者が裁判官、検事、弁護士になるために必要な研修で、約1年半の修習の最後に行われる試験に合格しないと法曹資格を得ることが出来ない。(YOMIURI ON-LINE 2006年9月29日)

司法修習の卒業試験を落第した修習生が100人を超えたということで、司法試験合格者が増えることで法曹の質が低下するんじゃないかという心配が現実のものになった、とネガティブな反応を示す現役法曹の方が多いようですね。一方で、こういうニュースも発表されています。今後の法曹界に与えるインパクトという点では、こちらの方が影響が大きいでしょうね。

金融庁職員採用試験の実施について
このたび、金融庁人事院は、人事院が導入した「経験者採用システム」を利用して、選考採用試験を下記のとおり実施することになりましたので、お知らせします。
金融庁における新たな行政需要に対応し、金融行政に関する法令の企画立案業務や市場監視業務等を担当する職員を採用するため、本年法科大学院の課程を修了し、司法試験に合格した方を対象に採用試験を実施します。(人事院記者発表資料 2006年9月29日)

金融庁が採用対象としたのは法科大学院を卒業して司法試験に合格した人間で、今年の12月に採用予定ということですから、司法修習の開始にぶつけた思い切った採用戦略ですね。実際に司法修習を袖にして応募、採用される人がどの程度出てくるか分かりませんが、面白い試みだと思います。

読売新聞の記事にもあるように、司法修習の卒業試験で落第してしまうと法曹資格を得ることができません。また、司法修習は兼職禁止ですから、私みたいな職もちは司法修習へ行こうと思ったら会社を辞めなきゃいけないので、これはこれでリスクの大きな選択です。そう考えると、裁判官や検事を目指すつもりのない学生にとって、司法修習はかなりリスクの大きな進路選択です。

一方、公務員や会社員として7年間法律・訴訟に関係する実務に携われば、弁護士資格を取得することは可能です。10年くらい行政や民間の実務に携わった後、改めて法曹としてのキャリアを始めるというのも、一つの有力な選択肢になりうると思いますが、どうですかね?