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お気楽金融雇われ人の見聞録

郷に入っては…

「管理・乗り方も原因」 死亡事故でシンドラー本部声明
東京都港区の公共住宅で起きたエレベーター事故で、日本法人がこのエレベーターを製造したシンドラーホールディング(本部・スイス)は8日、「エレベーター産業での事故は主に不適切な管理か利用者の危険な乗り方に起因していることが多い」とする声明を出した。
声明は「この事故を深く遺憾に思い、(亡くなった)高校生の家族にお悔やみを申し上げたい。原因究明のための捜査に全面協力する」としている。一方で、事故のあったエレベーターは「98年に設置。1年以上、シンドラー社は保守点検を担当せず、第三者である地元の会社2社が行っていた」と指摘。「当社には設計に原因のある死亡事故は過去にない」「事故があったエレベーターは国際的に多くの機関の認証を受け、世界中で使われている最先端の製品だ」としている。(asahi.com 2006年6月9日)

朝日新聞マッチポンプかと思ったらガチでした。事故発生後の初動対応としてはちょっとありえない対応だと思うんですけれども。

Schindler has no design related user fatalities on record. Fatal accidents in the elevator industry are mainly due to inappropriate maintenance or dangerous user behavior in the context of entrapment. The elevator involved in the accident is a state-of-art product fully certified by various international Authorities and in use in many markets around the world. ("Fatal Accident in Tokyo, Japan", Shindler)

事故のあったエレベータは保守管理会社が短期間に入れ替わっていることだし、確かに保守面の問題がある程度以上に影響しているのだろうなという想像が働きますが、製造元がこのタイミングでエレベータの安全性をアピールしても開き直りにしか見えないから逆効果でしょう。雪印乳業の集団食中毒事故の時の社長発言、「私は寝ていないんだ」に匹敵するインパクトがありました。ブログであれば格好の炎上ネタですな。

このあたり、自分たちに原因が無いことを主張することというのは世界的に見れば普通のことなんですかね?開き直りみたいに思えてしまうのは、私が日本人的な発想にどっぷりつかっているから?以前ジュネーブに出張した時、市街地のデパートでも軒並み20時くらいで店を閉めてしまうのを見て、日本とヨーロッパではCS、いわゆる顧客満足に対する考え方というか感覚がだいぶ違うなぁと思ったことを思い出しました。

ヨーロッパから来る会社は、ベンツやルイ・ヴィトンのようにうまくやっている会社もあれば、カルフールみたいに撤退していく会社もあるわけですが、ベンツやルイ・ヴィトンが日本で受け入れられたのは日本人の考えるCSにうまくマッチできたからであって、ブランドの威力だけじゃないと思うんですよね。シンドラーのプレスリリースを見ていると、そのあたりが全く分かっていない感じがします。要らぬお世話ですが日本で商売しづらくなっちゃうんじゃないかなぁ。