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お気楽金融雇われ人の見聞録

何と評価していいのか

中央青山カネボウ事件で辞任の元理事を経営陣に
新理事長の就任を機に経営陣を刷新した中央青山監査法人で、昨年10月にカネボウ事件で引責辞任した元理事が再び、理事に就任したことが明らかになった。改革推進を打ち出す一方で、カネボウ事件の処分の一環で辞めた理事が経営陣に復帰することについて、中央青山内部でも「社会や顧客企業から理解を得にくいのではないか」との声が出ている。
中央青山は30日、片山英木理事長(54)が就任し、新たに11人の理事を選任。国際本部長を務める代表社員(60)も理事に選ばれた。同氏は2000年5月から理事を務め、昨年10月にカネボウ事件で所属会計士3人が起訴された際、処分の一環として10人の理事全員が辞任した時に辞めた。カネボウ事件とは直接、関係がなかった。(NIKKEI NET 2006年6月1日)

一般的な株式会社組織であれば「ありえねぇ」のひと言なんですが、監査法人の社員って無限責任を負っているから、「俺が責任を取る」という意思表示の重みが株式会社とは違うような……。そう考えると、火中の栗を良く拾ったということになるのか?

そもそも、監査法人に限らず「士」業の法人組織はパートナー制を敷いているところが多いですが(税理士法人○○とか弁護士法人△△とか)、こういう法人のガバナンスってどう考えたらいいんだろうか。所有と経営が一体化している以上、上場会社のように「外」からのガバナンスは効かないですよね。そうなると、(代表)社員が無限責任を負うことの裏返しとしての自律作用に期待するしか無いわけですが、ちゃんと機能することが期待できるのだろうか。

いわゆる会計監査だけでなく、新会社法における会計参与の制度や、金融業界で言えば金融検査マニュアルにおける外部監査など、企業のガバナンスを確保する上で監査法人の重要性は増す一方で、会計士の不祥事が続いている根っこには監査法人や会計士が忙しすぎるという事情はあるのでしょうが、だからといって当の監査法人のガバナンスが自律作用という「内」からのガバナンスでしか担保されていないというのはいいのか悪いのか。厳罰化して刑事罰を課せばいいという短絡的な話では根本的な解決にならないのも確かなところではありますが(参照)。一筋縄では解決できそうにないですな。