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お気楽金融雇われ人の見聞録

少子化対策あれこれ

出産一時金給付、手続き見直し求める…少子化専門委
政府の「少子化社会対策推進会議」(議長・安倍官房長官)の専門委員会は15日、子育て世帯への経済支援や、仕事と育児の両立を後押しする施策などを盛り込んだ報告書をまとめ、同日の推進会議に提出した。
健康保険から支給される出産育児一時金について、入院・出産時に自分で一度費用を支払い、後で給付を申請する手続きの見直しを求めた。病院が健保に請求するなどして多額の現金を用意しなくても入院・出産できるようにする。子育てにかかる費用を負担するため、育児保険や子育て基金の創設の検討も促している。(YOMIURI ON-LINE 2006年5月16日)

報告書の具体的な内容は分からないのですが、少子化社会対策推進会議の以前の検討資料「『経済的支援』について」(PDF)を見ると、経済支援策として考えられている大きなメニューはこんな感じです。実際にはどのくらいの項目が報告書に盛り込まれているのか分かりませんが、これでもかと言うくらいに盛りだくさんな内容です。

  • 出産前の負担軽減(妊産婦医療費助成など)
  • 出産の無料化
  • 乳幼児医療費の負担削減
  • 在宅育児手当
  • 第三子への重点的支援
  • 税制の見直し(子供の扶養控除幅の引き上げなど)
  • 育児休業中の所得保障
  • 教育費負担の軽減
  • 子育て世帯の所得保障
  • 雇用の確保(母子家庭・父子家庭の雇用確保)
  • 親の経済的自立支援

少子化対策として挙げられている項目を見ていると、国の少子化対策は「子供がいない家庭が子供を持ちやすくするにはどうするか」というより「既に子供がいる家庭がもう一人子供を持ちやすくするにはどうするか」という点に軸足を置いて考えられているように思えます。

というのは、挙げられている支援策が基本的に「既に子供がいる」家庭がもう一人子供を持ちやすくする施策ではあっても、子供は別に欲しいと思わない家庭が新たに子供をもうけようと思うような支援策ではないように見えるからです。こういった対策は、質・量の両面で不足していることは間違いないのでしょうが既に実施されている施策が多いように思います。そうなると、ずっと出生率が低下し続けていることに対して、どこまで効果的なのかな?と思います。「子供は持たない予定」の家庭が、例えば読売新聞の記事にあるような出産一時金の支給の前倒し策を見て子供を持とうと思うのかな?甚だ疑問なのですが。

また、ここに挙げられている施策に乗っかってもう一人子供を持とうと思う家庭がどのくらいあるんだろうか?というと、こちらもどのくらいの効果があるのかよく分かりません。確かに子育て中の世帯にとって、子育ての経済負担は大きいので経済的支援は確かにありがたいものなのですが、挙げられている項目のほとんどは現在進行形の子育てを支援してくれるものではあっても、もう一人子供を持とうというインセンティブになるのかどうか……。「もう一人子供を」を端的に狙った項目としては「第三子(以降の子)への重点的支援」なのでしょうが、これもねぇ。激しく空振りに終わりそうです。