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お気楽金融雇われ人の見聞録

裁判大噴火【書評】

裁判大噴火

私は、これまで裁判所なる場所に出入りしたことがありません。スピード違反や駐車違反で反則キップを切られたことは何回かありますが、反則金を納めれば基本的にはそれでおしまいですし(ケースによっては裁判所に呼ばれることもありますが)。4月から法律の学習を始めたなんちゃって学生としては、是非実地に裁判の様子などを見てみたいと思うものの、平日に仕事サボって出かけるわけにもいかず、困っていたところ見つけたのがこの本です。

著者は大川興業の一員である阿蘇山大噴火氏。彼が実際に傍聴した裁判の様子が面白おかしく紹介されていて、一種の裁判傍聴ガイドという体裁です。例えば、民事裁判と刑事裁判であれば、刑事裁判の方が傍聴していて楽しいとか、同じ刑事裁判でもなるべく裁判の初回を見ると事件の全体が分かって楽しいとか、地裁・高裁・最高裁であれば地裁を見るのが楽しいとか、東京地裁にはヌシのようなおじさんがいて、捕まるとあちこち引き回されて大変だとか、実際に裁判を傍聴しに出かけるときに注目すべきポイントというものを軽い文章で教えてくれます。

阿蘇山大噴火氏は、裁判を見るときに対象となっている事件そのものよりも、裁判それ自身をひとつの演劇としてみることにしているそうで、裁判という演劇の出演者である被告人や裁判官、検察官、弁護士のちょっと変わった言動であるとか、裁判が始まる前の傍聴券を取る抽選会のドタバタといったところに光が当たっているので、裁判に対して一般に持たれている「堅苦しい」というイメージがこの本ではほとんど出てきません。実に気楽に読める裁判本です。

個人的にツボにはまったのは「サイバン旅行」と銘打ったシリーズ。これは、阿蘇山大噴火氏がホームグランドである東京地裁を離れて、地方の裁判所の傍聴に出かけた旅行記です。詳細はここでは書きませんが、彼が地方の裁判で見たズッコケぶり、のんびりぶりは、裁判も結局は人と人の営みなんだなぁということをしみじみと実感させてくれるスグレもののシリーズです。法律や裁判に興味の無い方も是非ご一読を。