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お気楽金融雇われ人の見聞録

日本プロ野球界にとっての分水嶺になるか?

WBC日本代表は、棚ぼたの準決勝進出から、韓国とキューバを撃破してWBC初代王者となりました。イチロー選手をはじめとした各選手、王監督おめでとうございます。

勝戦は入院している父とともに病室で見ていましたが、最初「実況の声だけ聞いていればいいから」とか言っていた父が、初回の4点で元気になり最後まで画面に釘付けだったのはわが父ながら現金なものです(一緒になってみていた私も人のことは言えませんが…)。

さて、せっかくの祝勝ムードに水を差す気はありませんが、今回WBCに優勝してしまったことは日本のプロ野球界にとってはひとつの分水嶺になるような気がします。

勝戦を見ていて思ったのは、日本のプロ野球選手は優勝するに相応しい実力を備えていながら、その実力がきちんと海外で認知されていないなぁということ。それを痛感したのが、キューバに1点差に詰め寄られた後の9回表の攻撃でイチローに打順が回った場面。あの場面、キューバの投手はイチローの「格」に気圧されているのがテレビを通しても分かるほどで、それが貴重なダメ押しタイムリーに繋がったように見えました。

イチロー以外の選手のときは、そこまで気圧されているようには見えませんでしたので、キューバの投手はイチロー以外の日本の打者を「格上」とは感じていなかったように思います。結局、このあたりの「格」で圧倒できないことが、国際大会で日本の野球が苦戦を強いられるひとつの要因なんでしょうね

これは、日本のプロ野球選手個々の実力が足りないということでは全く無く、単に持っている本当の実力ほどには海外から評価されていないということなのでしょうが、その根っこには、日本のプロ野球の運営側、チーム側の問題があるのだろうなぁと思います。外国人選手の登録枠の問題や保有権の問題など、チームや国境をまたぐ選手の流動性が極端に低い状態を放置していることで、日本のプロ野球アメリカや韓国以外の海外からは「暗黒大陸」さながらに実力がうかがい知れないリーグに見えているんでしょう。

今回、WBCに優勝したことで海外からの注目は否が応でも高まりますので、これをいい機会に日本プロ野球が「開かれた」リーグとして米メジャーリーグとは別の最高峰リーグとして脱皮できれば、海外からの選手流入プロ野球人気の盛り返しも期待できるかなと思いますが、単なる自己満足で終わってしまうと日本のトップ選手が米メジャーリーグへ流出する一方通行しか残りませんので、長期的な凋落傾向の歯止めにはならないのかなと思いました。