聞いた、見た、読んだ。

お気楽金融雇われ人の見聞録

知識は私財か公共財か?

価値の大小はともかくとして、私的財産としての価値があるからこそ公共財として共有する(できる)ということではないのでしょうか?

知識に価値はあるのか!!事業の見学を有料化し始めた横浜市
知識や情報は私財か公共財かと言うのは程度問題であり、文化の差が大きいと考えられます。しかし現在は米国流のグローバリズムが主流な訳ですから、日本でも『知識は私財』と言う発想が強まると考えられます。
あなたの持っている知識は私的財産と呼べるほどの価値がありますか?それとも知識は公共財とお考えですか?(FPN 2006年3月13日)

そもそもの話は、横浜市が、他の自治体や研究者が横浜市のビジネスモデルを見学する際に「ノウハウ料(というより見学料?)」を取り始めたことが物議を呼んでいるという話です。横浜市のビジネスモデルの詳細はわからないので価格が妥当かどうかは判断できませんが、視察に行く自治体が「カネを払ってでも見たい」と思うのであればノウハウ料を徴収しようが一向に差し支えないと思います。「カネを払ってまでも見る価値はない」というのであれば別に見る必要はないわけですし。

引用先のエントリーによれば、「知識というものは人間社会の発展のために惜しみなく与えるもので蓄えるものではない。」と言ってノウハウ料徴収に反対している方がいらっしゃるようですが、反対している当のご本人はご自身の研究成果をネット上には公開していらっしゃらない(私の検索が拙いだけかもしれませんが)ようですから何かの冗談でも聞かされているようです。ぜひとも、隗より始めよで研究成果の一部でも惜しみなく公開していただき貴重な公共財として活用させていただきたいところです。

それはさておき、知識や情報を私的財産と見るか公共財と見るかというのは、排他的に対立する概念ではなく、問題なく両立できる概念だと思います。むしろ、「日本人は情報にカネを払わない」と言われることがあるように、日本においては情報や知識を「財」として認識していない人が多いことがそもそもの問題なんじゃないでしょうか?

財として認識していないからこそ、情報や知識を公共財として活用することも進まないのでしょうし(日米のWikipediaの充実度の違いがいい例です)、いわゆるコンサルタントなどの知識産業を虚業といって揶揄する人が後を絶たないというのもその表れだと思います。

それでもインターネットが普及したことで、玉石混交とは言えネット上に知識や情報が集約されつつあるということは事実であり、私的財産としての知識や情報が公共財として共有、活用される素地はできているというのが私の認識です。