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お気楽金融雇われ人の見聞録

量的緩和解除後についてのメモ

日銀が5年にわたる量的緩和を解除しました。解除そのものは、ここ10日くらいであっという間にマーケットに織り込まれてしまったので、大きなインパクトは無いと思います。政府・与党は、量的緩和解除によるデフレの再燃を心配しているようですが、政府は政府で「財政政策」というツールを持っているのだから、まだデフレ状態だと思うのであれば、財政政策の活用を考えるべきでしょう。自分たちはさっさと定率減税などを廃止して景気回復モードに入ってしまったのに、どの口が日銀の政策を非難できるんだろう?というのが正直なところです。

ただ、これは日銀にも責任の一端があるように思います。今回、日銀は物価安定の「目安」として0-2%という数字を示しましたが、これは実質的なインフレターゲットと考えて良いでしょう。問題は、これがインフレターゲットでもインフレ参照値でも無いと明言されていることです。日銀はインフレターゲットなどを導入して、政策の手足が縛られることを排除したいということを言っていますが、こういったコミットメントの弱さが市場の疑心暗鬼を呼び、却って自らの手足を縛っているということはよく認識しておいた方が良いと思います。

マクロレベルのいがみ合いはさておき、今回の量的緩和解除を受けて個人レベルでどんな影響があるのか?という点について、一般論としてメモしてみました。ひと言で言えば、当面はあまり大きな変化は無いのかな?というところで、目に見えた影響が出てくるのはゼロ金利政策の解除後でしょう。

預金
基本的に変化なしでしょう。預金金利短期金利をベースに決まりますので、日銀がゼロ金利政策を維持している限りは金利が上がる可能性はほとんど無いと思います。

国債
長期金利の動向次第ではありますが、個人向けの変動金利国債は、徐々に適用金利が上がる方向かなと思います。個人向け変動金利国債は、半年ごとに適用金利の見直しがありますから、預金より早く中長期金利上昇のメリットを享受できるかな?という感じですね。固定金利型も新発もの(今後発行される国債)は変動金利型と同じですね。

住宅ローン
これも中長期金利の動向次第ではありますが、これから固定金利型のローンを利用する場合は、当初の適用金利が上がる方向かなと思います。ただ、昨日も中長期金利はあまり動きませんでしたから、それほど気にする必要は無いのかもしれません。
変動金利型のローンを利用している場合は、預金と同様、短期金利ベースで金利を決める銀行が多いので、日銀がゼロ金利政策を維持している間はあまり気にする必要は無いのかな?と思います(ただ、利用している住宅ローンが長期プライム金利ベースの商品だったりすると、中長期金利の動向に合わせて金利が上がる可能性があります)。