聞いた、見た、読んだ。

お気楽金融雇われ人の見聞録

折伏どころか対話も議論も成立しない状況

「あなたの方がおかしい」と森昭雄氏に言われるの巻
つい、「正しい」ことを述べてしまえば伝わるような気になるが、それは間違い。ここに来ている人は、「ゲームにはまった子ども」に悩む保護者が多いわけで、講師批判ととられかねない発言をしてせ伝わらない。
(略)
これはプレゼンスキルの問題だなあ。(リヴァイアさん、日々のわざ 2006年3月7日)

ゲーム脳の恐怖」の著者、森昭雄が世田谷区で行った講演会での話。リンク先ブログの管理人である川端さんがゲーム脳に批判的な立場から質問をしたところ、質問をはぐらかされた上「あなたのほうがおかしい」とまで言われてしまったとのこと。私は、科学的な胡散臭さや私自身がゲーム三昧で過ごしていたという経験的・心理的な要因から「ゲーム脳」という考え方には懐疑的なので川端さんに肩入れしてしまいますが、今回のゲーム脳講演で川端さんの意見・質問が届かなかったのはプレゼンテーションスキルの問題では無いように思いました。

プレゼンテーションスキルが聞き手の意思決定に影響を与える可能性があるのは、聞き手がプレゼン内容に対して肯定的であるか、判断を保留しているかのどちらかだけでしょう。プレゼンテーションスキルをいくら高めても、そういう聞く耳を持たない人を折伏するのは不可能だと思います。もう一つ付け加えれば、当日の聴衆の多くにとって「正しい」のは「ゲームが子供の脳を破壊する」ことであって、川端さんの意見・質問は「正しくない」ものだったんでしょう。こうなってしまうと、折伏どころか対話も議論も成立しませんね。

文字によるコミュニケーションが比較的得意な(はずの)ネット上でも、通常はお互いの意見の投げ合いになるか、ひどい時はコメントスクラム(やブログ炎上)にまで発展してしまうことを考えると、建設的な対話や議論を成立するのは非常に稀なケースのように思います。してみると、川端さんが圧倒的アウェーの状況下で思うような成果を挙げられなかったのも仕方が無いことなのでしょう。

ちなみに「ゲーム脳」を正しいことであると考えてしまう人たちは、ゲームを催眠術マシーンか何かだと考えているのでしょうかね?私などはゲームに害悪があるとすれば、1日24時間という限られた時間の使い方(時間のポートフォリオ)がゲームに熱中しすぎることによって偏ることに尽きると考えているので、そのような思考プロセスが理解できないのですが…。ゲーム脳を信じる人から見れば、これはこれで折伏どころか対話も議論も成立しない状況かもしれませんね。