聞いた、見た、読んだ。

お気楽金融雇われ人の見聞録

投機家について補足…

先のエントリー東証の西室社長の発言を批判しましたが、西室さんに限らず投機家に対する偏見はなかなか無くなりませんね。この背景には、投機家の行動をマネーゲームと言って非難する人たちが投機家のスタビライザーとしての機能を全く見落としているところに原因があるように思います。

投機家は「企業の財務状況などはあまり重視しないで、株価の動きに応じて短期売買で鞘取りをするばくち打ち」というのが一般的なイメージですが、ここをほんの少し掘り下げて考えてみます。

鞘取りをするためには「株価が安い時に買い、高いときに売る」ことを目指すわけですが、「株価が安い時に買う」ためにはどうすれば良いのでしょう?一番の近道は他の多くの株主が売りたい時に買うことです。売りたくても売れない時に足元を見て買うことができれば、なお安く買うことができます。他の株主の行動とは逆の行動を取るという点で、逆張り戦略を取る市場参加者と言うこともできるでしょう。

西室さんは、(ライブドアの)「ほとんどの株主は株を手放したと聞いている」と言っていますが、強制捜査が始まって以降、売りが殺到して値が付かない日が続いたライブドア株式に最終的に値が付いたのは逆張り戦略で買い向かう投機家がいたからです。投機家がいたからこそ、株を手放したい株主は株を売却できたと言うことができます(売却価格は全く不満足な水準かもしれませんが)。

投機家の行動には、こうした市場のスタビライザーとしての機能もあるわけで、市場にとっては必要不可欠なプレーヤーです。西室さんの発言は、そこを全く見落としている(もしくは無視している)点で問題があるわけです。