聞いた、見た、読んだ。

お気楽金融雇われ人の見聞録

見当違いも甚だしい

貧弱なシステムで市場参加者に多大な迷惑を及ぼしている証券取引所のトップの発言としては見当違いも甚だしいと思います。

ライブドア株“マネーゲーム化”…東証社長が批判
東京証券取引所西室泰三会長兼社長は21日の記者会見で、東証マザーズ上場のライブドア株について、「ほとんどの株主は株を手放したと聞いている。今、(株主として)残っているのは、投資家という名前の投機家ではないか」と述べ、同社株の売買がわずかな利ざや稼ぎを競う“マネーゲーム”化している現状を批判した。
また、西室社長は「(投機的な売買が)目に余る状況であれば、さらに(取引)時間を短縮し、今の1時間を30分にすることがあるかもしれない」と述べ、今後の取引状況によっては、1日1時間に制限しているライブドア株の取引時間を半分に短縮する可能性を示唆した。

そもそも、現在ライブドアの株式を売買しているのが「投機家」なのかどうか分かりませんし、仮に投機家だったとしてもそれはそれでライブドアの株価形成に一定の役割を果たしているわけですから、そのこと自体責められる筋合いでは無いでしょう。それにライブドア株式に係る「投機的売買」が投資家保護の観点から問題ありということであれば、東証の権限でライブドア株式を上場廃止にすればいいだけのことです。ライブドア株式を売買しているのは「投機家」ばかりだから上場廃止したって「投資家」の不利益はほとんど無いはずですよね?

にもかかわらず、取引が集中するのが分かりきっているのに取引時間を短縮する程度の小手先の対応しか取らず上場は廃止しない。そして上場廃止しない理由が「(検察や証券取引監視委員会による)粉飾決算の発表が無いから」というのは一体何なんでしょう?

もちろん、東証の惨状はこれまで積もりにつもった不作為が諸悪の根源であり、ライブドア株式の上場廃止に関する判断のお粗末さもこれまでの不作為の延長上にあることは明らかです。過去の尻拭いに奔走させられる西室さんには同情する気持ちもありますが、このような開き直ったようなコメントを出す背景には彼自身の証券市場に対する無理解があることが伺われ、その見識は疑われても仕方が無いと思います。