聞いた、見た、読んだ。

お気楽金融雇われ人の見聞録

健康保険を人質に取る社会保険庁

こういう「江戸の敵を長崎で討つ」みたいなやり方はどうかと思います。

国民年金未納者の保険証に期限設定…社保庁が検討
社会保険庁は11日、国民年金保険料の未納を続ける悪質な自営業者らが国民健康保険を利用するのを制限するため、同保険の有効期間を限定した「短期保険証」を未納者に発行する方向で検討に入った。
健康保険の有効期限を定めることで、年金保険料の納付を促す狙いがある。今国会への関連法案提出を目指す。(YOMIURI ON-LINE 2006年2月13日)

所得があるのに確信的に国民年金保険料を滞納することを是とする気は毛頭ありませんが、健康保険料は滞納なく納めているのに年金保険料の滞納を理由に健康保険を使えなくしてしまうというのは筋違いだと思います。国民年金国民健康保険は、同じ社会保険庁が所管しているとはいえ、それぞれが独立して掛け金を集めて運用されている制度であるわけですから、国民年金の問題は国民年金制度の中で解決の途を探るのが筋でしょう(両制度を一体化させるというのであれば話は別ですが)。健康保険を人質に年金保険料を払えというのは実に品の無いアイデアです。

元はといえば、国民年金の制度設計の拙さや運営主体である社会保険庁自身の怠慢や不作為、グリーンピアに代表される非効率な年金ファンドの運用などが原因で、現在の国民年金制度の苦境があるわけですから、先にそちらに手を付けろというのが普通の感覚でしょう。異なる二つの制度の壁をいとも簡単になくしてしまおうとするあたり、社会保険庁のけじめの無さが良く表れているように思います。