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お気楽金融雇われ人の見聞録

社保庁の「国民年金被保険者実態調査」騒ぎ

国民年金調査の協力拒否『条例に抵触』
国民年金の未納理由などを調べるため、社会保険庁が三年ごとに実施している統計調査「国民年金被保険者実態調査」について、東京都文京区と国分寺市、八王子市の三自治体が、それぞれの個人情報保護条例に抵触する恐れがあるとの立場から協力を拒否していることが分かった。社保庁は、同調査を通じて個人名が特定されることはないと説明しているが、住民のプライバシー意識の高まりを背景に、非協力の自治体側は引かない構えを見せている。(東京新聞 2006年2月11日)

今回の騒ぎは社会保険庁の粗雑なデータ管理が根本的な原因なんだろうとは思いますが、国と地方自治体はそれぞれの分担に従って「円滑に」行政サービスを提供してくれればそれで良いのであって、調査のデータを出す出さないという程度のことで対立してもらいたくは無いですね。データの提供を拒否している地方自治体は、データを持っていることが特権であるかのように振舞ってもらいたくないし、住民の味方ぶった点数稼ぎに走るのは見苦しいというのが率直な感想。

とはいえ、この件については調査の必要性そのものを考え直した方が良いと思います。

社会保険庁によれば、問題の調査は「国民年金第1号被保険者について、保険料納付状況ごとにその実態を明らかにし、被保険者の収入、被保険者の国民年金に対する意識、保険料未納の理由など今後の国民年金事業運営に必要な資料を得ること(社会保険庁平成14 年国民年金被保険者実態調査の概要」)(PDF)」が目的だそうです。

最初に感じるのは、そもそも年金未納ではない者も含めた全体調査が必要なのか?という点。年金をきちんと納めているものからすれば、ちゃんと収めているのになぜそんなデータを取られなきゃいけないんだという心理的な抵抗を感じるのは無理ないと思います。年金事業運営上の最大の問題が年金未納であることは明らかですから、調査自体を未納者を対象とした調査で十分でしょう。

もう一つ疑問に思うのは、国勢調査などのほかの統計データが流用できるんじゃないか?ということ。昨今は国勢調査もプライバシーの壁に阻まれて調査が難航しているようではありますが、行政の効率化という観点からは流用できるデータがあればそちらを使うべきでしょう。