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お気楽金融雇われ人の見聞録

会社におけるインフルエンザ・パンデミック対策チェックリスト(仮訳)

鳥インフルエンザとそれから派生するおそれのある新型インフルエンザへの対策は、個人レベルでは予防接種やうがい、手洗いの励行が基本的な対策だと思いますが、会社としての対応策をどうすべきかという良い指針がなかなか見つかりません(厚生労働省からも出て無いようですし)。

参考までにアメリカのCDC(米国疾病予防管理センター)が公開している「会社におけるインフルエンザ・パンデミック対策チェックリスト」(PDF)の仮訳を作ってみたのでエントリーしておきます。誤訳などがあればお知らせください。


会社におけるインフルエンザ・パンデミック対策チェックリスト
(Business Pandemic Influenza Planning Checklist)

1.1 インフルエンザ・パンデミックが業務に及ぼす影響の想定
  • パンデミック対策の責任者(チーム)を任命し、パンデミック発生前の対策およびパンデミック発生時の対応策の立案に係る役割と責任を与えているか。 なお、対応策の立案にあたっては労働者代表(従業員組合等)の意見を取り入れる過程を含めているか。
  • パンデミック発生の間、業務を継続するために不可欠な従業員およびベンダー等を、拠点および機能ごとに特定しているか。
  • 応援要員を確保し、訓練しているか。
  • パンデミックの間、増加もしくは減少することが見込まれる商品またはサービスに係るリスクシナリオを策定し、対応策を作成しているか。
  • 複数の生産ライン、そして/または、生産拠点に影響を及ぼすリスクシナリオを用いて、パンデミックが会社の財務状態(資金繰り等)に与える潜在的な影響を見積もっているか。
  • パンデミックが海外出張もしくは国内出張に与える潜在的な影響を見積もっているか。
  • 国や自治体等の衛生関係部門や危機管理部門などから、パンデミックに係る最新かつ信頼できる情報を継続的に入手しているか。
  • 非常時の連絡体制を確立し、定期的に見直しているか。 連絡体制には主要連絡手段の特定(バックアップを含む)、緊急連絡網(必要に応じてベンダーや取引先も含む)、業務や従業員の状態を追跡するプロセスを含む。
  • パンデミック対策に係る訓練を実施し、対策の有効性を検証しているか。また対策を定期的に見直しているか。
1.2 パンデミックが従業員および取引先に与える影響の見積もり
  • パンデミック発生中の従業員本人または家族の罹患、集団隔離、学校または職場の閉鎖や公共輸送閉鎖などに起因する、従業員不在を考慮しているか。
  • 従業員間および従業員と取引先の間の接触頻度や手段(例えば、握手や会議の席順、オフィスのレイアウト、共用PCなど)を変更するためのガイドラインを導入しているか。
  • 従業員に対してインフルエンザワクチン接種を奨励し、接種状況を把握しているか。
  • パンデミック発生中の従業員の病院等へのアクセス手段の有効性を評価しているか。また、必要に応じて内容を見直しているか。
  • パンデミック発生中の従業員のメンタルヘルスや各種団体等(会社、地域、宗教を含む)へのアクセス手段の有効性を評価しているか。また、必要に応じて内容を見直しているか。
  • 特別な取扱いを行う必要がある従業員と重要な取引先を識別し、そのような人々の要件をパンデミック対策に組み入れているか。
1.3 パンデミック発生時に適用する対応方針の策定
  • パンデミック発生時に特例として適用する給与および欠勤に係る方針(例えば非懲罰的かつ自由な欠勤の許可等)を策定しているか。方針には、新型インフルエンザ罹患者の回復後の職場復帰に係る方針を含む。
  • 勤務場所の柔軟な運用(例えば在宅勤務)や勤務時間の柔軟な運用(裁量労働制等勤務時間の変更)に係る方針を策定しているか。
  • 職場におけるインフルエンザ拡散防止(例えば、うがいの励行、インフルエンザの兆候が見られる従業員の出勤停止措置など)に係る方針を策定しているか。
  • 職場において新型インフルエンザに罹患したもしくは罹患が疑われる従業員に対する方針(例えば感染防止対策、感染時の出勤停止措置など)を策定しているか。
  • 感染の急拡大による影響を受ける地域への渡航制限(国内・海外とも)や感染急拡大の影響を受ける地域あるいはその近隣地域に勤務する従業員の一時帰国に係る方針、および帰国のためのガイドラインを策定しているか。
  • 新型インフルエンザ対策(業務の変更[新型インフルエンザ感染地区の営業休止]、主要な従業員への情報伝達など)の開始および終了に係る権限や条件、手続を策定しているか。
1.4 パンデミック発生時における従業員および取引先保護手段の確保
  • 十分な数量の感染予防用品(携帯用衛生製品、ティッシュ、使い捨て容器など)をすべての業務拠点に提供しているか。
  • 従業員の在宅勤務や取引先との連絡に必要な情報インフラを整備しているか。
  • 非常時における診療体制の有効性を確認しているか。
1.5 従業員に対する周知
  • 新型インフルエンザに関する基本的な知識(インフルエンザの兆候や伝染の仕組み)および従業員本人および家族の感染予防・感染後の対応(例えば、手洗いの励行、咳やくしゃみをする場合のエチケット、感染した場合の緊急対応)に係る教材を作成、配布しているか。
  • (上記教材などを)用いた従業員とのコミュニケーションによって従業員の不安や心配、噂やデマの可能性を軽減しているか。
  • (インフルエンザ・パンデミック対策に係る)従業員とのコミュニケーションが文化および言語の両面で適切なものとなっていることを確認しているか。
  • パンデミックに対する会社としての対応方針(事前の対策、発生時の対応策)を従業員に周知しているか。
  • 新型インフルエンザに罹患した従業員および家族の自宅療養に関する情報を従業員向けに提供しているか。
  • パンデミックの状況およびパンデミックへの対応状況を、会社の内外を問わず、一貫して且つ適切なタイミングで、従業員やベンダー、仕入先、取引先に対して連絡することができる手段(例えば、ホットラインや専用ウェブサイト)を、冗長性を確保した上で構築しているか。
  • パンデミックに関する適切なタイミング且つ正確な情報を入手できる自治体(国内および海外)などの情報源を特定しているか。また、インフルエンザワクチンや抗インフルエンザウィルス薬の入手ルートを確保しているか。
1.6 他の組織との協働および地域への貢献
  • 保険会社や主要拠点の医療関連施設とパンデミック対策プランを共有するともに、彼らのキャパシティを理解しているか。
  • 国や都道府県、地域の公立病院などに協力し、自社のパンデミック対策プランを共有するとともに、彼らのキャパシティを理解しているか。
  • パンデミック発生時に、自社が地域に提供することができる物やサービスについて、地域の公立病院などに伝達しているか。
  • 地域の他社や商工会議所、業界団体などとパンデミック対策のベスト・プラクティスを共有し、地域のパンデミック対応力向上に寄与しているか。