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お気楽金融雇われ人の見聞録

なぜに利益を返上する必要が?

ますます釈然としません。なぜに利益を返上する必要が?

ジェイコム株の利益返上へ UBSなど6証券
 みずほ証券による株大量誤発注問題で、ジェイコム株を大量取得し、強制決済によって利益を得たUBS証券グループなど国内外の証券会社6社が、総額100数10億円の利益を全額返上する方向となったことが14日明らかになった。一両日中に各社が発表する見通し。
各社が利益分を寄付して基金をつくり、証券関係の調査・広報などの活動などを支援していく案を検討している。発注ミスに付け込む形で多額の利益を得たことに対し、与謝野馨金融担当相や自民党など政府与党からも批判が相次いでおり、企業イメージの低下を避けるため異例の利益返上に踏み切る。6社以外の証券会社や個人投資家なども総額230億円強の利益を得たとみられ、今後の対応が焦点となる。(共同 2005年12月14日)

「誤発注に乗じて利益を得るのは本意ではない」が本当に本意かどうか窺い知れませんが、少なくともあの日の取引時間中はそれが誤発注だとはみずほ証券東証もアナウンスしなかったわけですから別に火事場泥棒でもなんでもないでしょうに。

入力ミスの儲けを返却!?=敵失の馬鹿勝ちがNOなら
さらに気になるのは、モラルハザードの懸念だ。今回のミスはオペレーショナルリスクが極大に顕現化した典型例と受け止められ、多くの金融機関が教訓にすべき事例。ところが、相当額が救済されるなら、リスク管理を真剣にやるインセンティブは薄れる。金融庁・日銀はそれでもきちっとやれと言うのだろうが、少なくともマーケット取引に関しては大失敗ほど救済される悪しき事例が残る。取引ミスは日常茶飯事であろう。個人が取引ミスで破たんした場合、普通は誰も救わない。銀行が困るぐらい金を借りた企業が救済(債権放棄)され、小額借りた零細・個人が追い込まれた不良債権処理と同じ構図が透ける。(本石町日記 2005年12月14日)

フタを開けたら一部の証券会社の儲けが目立ったからといって批判して「正当な」取引からあがった儲けを取り上げるセンセイ方の気が知れません。「本石町日記」のbank.of.japanさんのモラルハザードの懸念には激しく同意します。モラルハザードが一番ひどいのは間違いなく東証だと思います。

今回UBS証券などが利益返上したことで、東証の体質改善のインセンティブが弱まることが心配です。市場参加者からすれば胴元がダメダメな方が儲けやすいのかもしれませんが。