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お気楽金融雇われ人の見聞録

セブン・イレブンの電子マネー戦略大丈夫?

セブン-イレブンが独自の電子マネー発行
セブン&アイ・ホールディングスは11月29日、ジェーシービー(JCB)と提携し、非接触ICチップを搭載したプリペイドタイプの電子マネーカードを、2007年春をめどに独自に発行すると発表した。グループ店舗で相互利用できるポイントサービスも、2007年春以降に始める。
電子マネー、ポイントサービスとも、当初は全国1万1000店以上のセブン-イレブン店舗で利用できるようにし、将来はイトーヨーカドーなどグループ計1万2500店舗で利用可能にする。買い物で貯めたポイントの電子マネー化など、電子マネーとポイントが連動したサービスも準備するほか、グループ外の企業とのポイント連携も推進していく。(ITmediaニュース 2005年11月29日)

なんだかなぁ。顧客を囲ってプロファイリングしたいという意図が見えみえですね。「消費者動向が見えなくなった」というのがセブン&アイの鈴木会長の最近の口癖ですが、そのあたりの焦りがこういう「囲い込み」という形で出てきているのでしょうが、消費者動向が見えなくなったのではなく消費者を見ようとしてないだけなんじゃないのという気がしてなりません。

電子マネーのメリットとして、レジ清算のスピードが上がるとか、つり銭のわずらわしさから開放されることで快適な買い物が可能になるということが言われていますが、事前に「チャージする」というひと手間を要求されるデメリットがあります。一方、現金は「かさばる」というデメリットはありますが、日本中どの店でも使えるという究極の利便性があります。

電子マネーを使うかどうかは、電子マネーのメリット/デメリットを差し引きしたネットのメリットと現金のメリット/デメリットを差し引きしたネットのメリットの比較で決まるはずですが、もっと言えば「使える」場所の数が最も重要なファクターだと思います。電子マネーを使える場所が少ないと、電子マネーと現金の両方を持つことを強いられるため、電子マネーを持つメリットは小さくなってしまいます。電子マネーを使ってもらうためには、使える場所を増やすのが一番正攻法なんですよね。

そういう観点から見ると、セブン&アイグループでしか使えない電子マネーのどこに利便性があるのか疑問です。12500店舗で使えるとか、ポイントと連動させると言ったってグループ内の店舗でしか使えないのであれば、現金をあえて電子マネーに乗せる必要は感じません。

どうせやるなら、セブン・イレブンやイトーヨーカ堂の全店舗にEdyでもSuicaでもどちらも使えるレジを入れる方が良いのではないでしょうか?まず店頭で電子マネーを使う顧客を増やしてから、顧客データのプロファイルをするべきで、アプローチが逆だと思います。