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お気楽金融雇われ人の見聞録

日本振興銀行の中間決算

[ゴーログ] 未上場会社の経営者は上場するまで黙って数字を達成する
業務収益が貸出金利息を中心に増加傾向を辿っている中、保有有価証券の売却益が大きく寄与しまして、中間決算の業務純益は、▲700万円(赤字)にとどまりました。平成16年度の上期は▲10億2200万円で、下期は▲4億3300万円でしたから、それと比べれば、黒字には届かなかったものの、多少は改善してきたといえるかなぁ、とは思います。
ちなみに、経常利益ベースでは、平成16年度上期▲12億5400万円→下期▲6億5300万円→平成17年度上期▲2億1200万円。なお、当期利益ベースでは、平成16年度上期▲12億5400万円→下期▲6億5500万円→平成17年度上期▲7600万円となりました。(週刊!木村剛 2005年11月2日)

日本振興銀行17年度上期中間決算が公表されました。木村さんによれば業務純益、経常利益とも赤字幅が減少傾向にあり、順調に経営基盤ができつつあるとのことで、お祝いを申し上げたいところではありますが、貸出と預金のそれぞれで気になることを書いておきます。

平成17年度上期の貸出実行件数は825件。平成16年度に達成した849件に匹敵する件数を半分の期間で実行しています。10月も200件以上の貸出を実行しましたので、年間1200件という目標は、前倒して11月にもクリアすることができそうです。
この5月から支店展開を始めておりまして、神田店・神田駅前店(5月)、秋葉原店(6月)、新宿店・西新宿店・高田馬場店(7月)、渋谷店・新橋店・錦糸町店(9月)の9拠点を5ヶ月で開店しました(おそらく日本の銀行では、拠点開設スピードの新記録だと思います)。支店長採用の進捗度合いにもよりますが、年末までにあと2~4拠点は展開したいと思っています。([ゴーログ] 未上場会社の経営者は上場するまで黙って数字を達成する)

ひとつ目は貸出残高ですが、ハイペースで貸出を実行できており貸出実行件数は順調に増えていますが、一方で17年9月末の貸出残高(約122億円)が、3月末の貸出残高(約119億円)から殆ど増えていないのが気になります。貸出は毎月返済されることで残高がどんどん減っていきますから、貸出件数の年間目標を達成しても、貸出残高が減少してしまっては資金収益が細ってしまいます。今後の支店展開と新支店での新規貸出の増加スピードがカギになりそうです。

もうひとつ気になるのは9月末の定期預金口座(5,019件)と定期預金残高(約265億円)がともに3月末の口座数(5,678件)、残高(約298億円)から減少しているところ。定期預金の残高が減ってしまうのはあまり嬉しいことではありません。預金者の皆さんが戦略投資を始めてしまったんですかね?

対応策として日本振興銀行は10年定期の利率1.0%のキャンペーンを展開していますが(定期預金について)、1.0%という金利は全国最高レベルです(Yahoo!ファイナンス 金利情報)。日本振興銀行の資産の半分は国債運用に回されていますので、資金繰りに問題があるとも思えないのですが、ここまで高い金利を提示して預金キャンペーンを行う必要があるのか、やや疑問です。

それから全くの蛇足ですが、せっかく開示した業種別貸出残高のうち、4分の3近くが「その他」になっているのは如何なものかと…。