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お気楽金融雇われ人の見聞録

拉致問題解決へ動き始めた多国間の枠組み

11月3日から日朝間の政府対話が1年ぶりに再開されました。初日の時点では、日本と北朝鮮がそれぞれ「拉致問題」と「過去の清算」を求めるという今までどおりの展開。対話が再開されたこと自体がえらく大きく取り扱われていますが、実際のところは「(北朝鮮は)『拉致問題は解決済み』という立場だ。急に真剣になったとは聞いていない。お互いが意見を述べ合った。新しい話が出たとは聞いていない」(11月4日の麻生外相の記者会見コメント)という状況のようです。

北朝鮮拉致問題は解決済みということにしたいようですが、海外からは拉致問題に関する側面支援が相次いで発表されており、多国間の枠組みが着々と動き始めました。

EU、北朝鮮非難決議案を国連総会に初提出
欧州連合(EU)は2日、拉致問題など北朝鮮の人権状況を非難する決議案を国連総会第3委員会(人権)に提出した。
日本と米国も共同提案国となった。同委員会で採択されれば、国連総会本会議に上程される。
EU提案の北朝鮮非難決議はジュネーブの国連人権委員会で3年連続で採択されているが、事態が改善されていないとして国連総会に初めて提出された。53か国加盟の人権委員会ではなく、国連加盟全191か国が集う総会で採択されれば、より強力な国際社会のメッセージとなる。(YOMIURI ON-LINE 2005年11月3日)
拉致問題解決がテロ支援国家指定解除の条件…米高官
米政府のデトラニ・6か国協議担当特使は2日、ワシントン市内で講演、拉致問題の解決が北朝鮮の国際テロ支援国家指定を解除する条件になるとの考えを表明。日本との政府間協議を再開した北朝鮮に対し、問題解決を促した。
特使は、拉致問題が「解決されるか、解決に向かうかすれば、米国は(指定解除をめざし)前向きの行動をとることができる」と述べた。テロ支援国家指定から解除されれば、北朝鮮は米国や国際金融機関から大規模な支援を受けることが可能になる。(YOMIURI ON-LINE 2005年11月3日)

以前のエントリー「北朝鮮への経済制裁」の中で、拉致問題解決のためには日本が単独で経済制裁を発動しても目覚しい効果は期待できないので、核問題を絡めて国連安保理へ持ち込むべきだと書きましたが、核問題については六カ国協議、拉致問題については国連総会と多国間の枠組みが二重にできつつあるのは、望ましい流れだと思います。これで拉致問題が解決の方向へ多少なりとも動き始めればいいのですが。

かく乱要因としては、「北朝鮮へ「亡命」の日本人女性、2年余ぶりに帰国(asahi.com 2005年11月3日)」。ネット上で拾える情報を信じるとすれば、いわくつきの人物がいわくつきの国へ亡命して戻ってきたということですな。