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お気楽金融雇われ人の見聞録

学生に大学破綻のリスクを負わせるのは無理があるでしょう

「有利な条件があれば他大学の経営を引き受けてもよい」トップは12.9%。近隣大学が破綻したら「学生を受け入れてもよい」と42.9%が考え、2.1%は「経営支援をしてもよい」。
(中略)
大学破綻に対する対策を、五つの選択肢から複数選択してもらった。最も多かったのが「経営情報」をもっと公開させ、破綻が避けられない大学は早めに破綻させた方がよい」で、全体の49.4%を占めた。次いで「市場原理に任せるべきで国も大学団体も何もすべきではない」(35.9%)と「救済制度を日本私立学校振興・共済事業団のような公的機関が整備すべきだ」(35.6%)がほぼ同率で、市場任せと事業団の条件整備で意見が割れた。残りは救済制度を「国が整備すべき」が26.5%、「大学団体で整備すべき」が12.4%だった。(日本経済新聞 2005年10月25日)

日経新聞が実施した「私立大学経営アンケート」によれば、私立大学の経営トップは「今後5年間で15校に1校が経営破たんする」という見通しを持っているそうです(参照)。「萩国際大学の破綻」でも書きましたが、大学が多すぎるというは事実だと思いますし、大学破綻そのものは避けられない事象だと思います。

ただ、一般の事業会社のように優勝劣敗で大学を淘汰させていけばいいかというと、そうではないでしょう。

営業を頑張るとか、無駄なコストをカットするとか、会社の存続に対して主体的に関与できる余地が多少なりとも存在する会社員と違って、一般の大学生は大学の経営に主体的に関与する余地はほとんどありません。この両者を同列に扱って、学生に資本市場経済原理を当てはめて、大学破綻のリスクを負わせるのは無理があります。

アンケートの具体的な内容がどうなっていたのか分かりませんが、破綻した近隣大学の学生の受入れを検討するつもりのある大学が4割程度というのは心細い限りですし、破綻大学の学生を受け入れる準備もないまま、経営が行き詰った大学は情報開示させて早めに破綻させろとか、市場原理に任せるべきという意見が出てくるのは、ちょっと酷いのではないかと…。