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お気楽金融雇われ人の見聞録

働けないリスク > 死亡リスク

生保の死亡保障「1000万円以下」伸びる・大手生保
生命保険の死亡保障額を1000万円以下に抑える契約者が増えてきた。大手生保では前年同期を3―4割上回るペースでこの分野の売れ行きが伸び、新規契約の1割近くを占めるところもある。死亡保障は3000万円以上というのが長年の相場だったが、少子化や家計のリストラで負担の重い商品が敬遠される流れになっている。(NIKKEI NET 2005年10月19日)

生命保険の死亡保障額が小さくなっているのは、少子化の影響というよりも、個人にとって最大のリスクが「死亡リスク」ではなく「働けないリスク」であると認識されつつあり、生命保険という商品に対するニーズが変わりつつあるということでしょう。

つまり、「死亡」することで収入が途絶えるリスクより、病気や怪我で「働けない」ことにより収入が途絶えるリスクの方が家計に与える影響が大きいということです。夫婦がともに働いて定期収入があれば死亡リスクのダメージはある程度軽減できますが、病気や怪我で働けなくなった場合は、医療費が必要になるとともに、介護なり看護なりの負担が多少なりとも発生するでしょうから、家計は二重三重のダメージを受けることになります。

家計のリスクヘッジという観点からは、多少利回りが悪くとも資金の出し入れの自由があって、かつ、病気や怪我というトリガーによって定期収入を得られる形の商品の方が都合がいいように思います。こういうニーズに合致する商品となると、記事にも出ていた医療保険であるとか、所得保障保険ということになるのでしょう。となると、一時金で何千万円ももらえても30年近い長期にわたって資金を拘束されてしまう死亡保険メインの生命保険が敬遠される流れは、当面止まらないのかなと思います。