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お気楽金融雇われ人の見聞録

情報は開示すればいいというものではありません

中国建設銀、行員の犯罪統計公開「見抜けないことも」
中国の4大国有銀行で初めて香港市場に27日上場する中国建設銀行は、投資家に配る資料「目論見(もくろみ)書」に、収賄や横領など行員が関与した刑事事件の統計を掲載した。相次ぐ汚職事件で募る同行への不信感を、情報の積極開示でぬぐうのが狙いと見られるが、「行員の不正行為を見抜けないこともございます」との「お断り」には、投資家も戸惑い気味だ。
同行は、上場に向けた発行新株の購入受け付けを14日に開始。投資家に渡す同書の「リスクマネジメント」の項目で、行内で発生した窃盗、業務上横領、詐欺、収賄などの犯罪行為が、03年は64件(被害金額1.44億元=約18億円)、04年は63件(同4.17億元=約54億円)、05年上半期は39件(同0.91億元=約11億円)あった、とした。 (asahi.com 2005年10月17日)

「情報は開示すればいいというものではありません」という見本のようなニュースです。目論見書では「事件は自浄能力の欠如の表れ」としておきながら、再発の恐れについては「必ず見抜き、防げるとは限らない」と、開き直りのような記述がされているとのこと。

う~ん、確かにこういった不祥事件が発生するのを「ゼロ」にするのは難しい(というか不可能)だとは思いますが、再発防止に向けた取り組む姿勢くらい見せた方が良いのでは?これでは、せっかくの情報開示が何のためのなのかよく分かりません。株主が払い込んだ出資金を経営陣が着服することも防ぐことはできませんというメッセージなんでしょうか。

それにしても、毎年、何十件と刑事事件が発生していて、それに中国の金融当局は何も言わないんですかね?
日本では、先日東京三菱銀行で大口の着服事件が発覚した際、金融庁業務改善命令を出して再発防止策の策定を求めているように、お咎めなしというのはちょっと考えにくいのですが…。