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お気楽金融雇われ人の見聞録

窓販専業の国内生保が誕生

銀行窓販専門の生保 T&Dが国内初 全営業支社を閉鎖へ
保険持ち株会社のT&Dホールディングスは十九日、今年度中に傘下のT&Dフィナンシャル生命保険を銀行窓口販売(窓販)の専門会社に転換すると発表した。販売窓口を銀行・証券の提携金融機関だけに絞り、変額年金保険などの保険商品を提携先に供給する「卸売業」に特化する。外資系の銀行窓販専門会社はあるが、国内生保で窓販専業会社となるのは初めて。(FujiSankei Business i 2005年8月20日
いつかこういう国内生命保険会社も出てくるだろうと思っていましたが、ついに営業職員を全廃する生保が出てきました。新党フィーバー(?)にかき消されてあまり目立ちませんでしたが、一つの分水嶺になる動きだと思います。

生命保険の銀行窓版については、「保険の銀行窓販先送り」や「銀行の保険窓販解禁は延期がほぼ確定」で触れてきましたが、生命保険という商品そのものは、加入率が9割を超えているという話もあるように、国内では既に飽和状態に達した商品であることは間違いないところです。飽和状態に達した商品を更にどう販売し、利益を上げるのかという問題は、生保各社に共通した悩みです。

銀行窓販は、生保各社から見れば低コストの販売チャネルとして見ることができるはずですが、それは一方で営業職員の削減に直接結びつく話でもあります。これまで生保各社は生命保険商品の銀行窓販に強硬に反対し続けてきましたが、それは営業職員の削減に道筋を付けるまでの時間稼ぎの側面が強かったと言えるでしょう。

それが証拠に、生保協会の会長を務めていた時代に銀行窓販に強硬に反対していた日本生命ですら、銀行窓販を拡大することを発表しました(一時払い養老・終身保険が、今の時代にどのくらいウケるのかは分かりませんが…)。
日本生命、一時払い養老・終身保険を銀行で窓販へ
日本生命保険は19日、銀行の窓口で一時払い養老と一時払い終身保険の販売を始める方針を明らかにした。12月から銀行窓販での保険商品が増えるのに対応し、個人マネーの取り込みを強化する。これまで銀行に販売の主導権が奪われるとして積極的に手掛けていなかったが、追加解禁をきっかけに攻勢を強める。銀行を舞台にした競争が一段と過熱する。(NIKKEI NET 2005年8月20日
営業職員の削減どころか全廃にまで踏み切って銀行窓販を活用しようという生保が出てきたということで、今後これを追随する動きが加速することは間違いないと思います。