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参議院の議決結果で衆議院を解散することの是非

郵政民営化法案が参議院で否決された場合、衆議院を解散する可能性があることを小泉首相が匂わせています。私は問題ないんじゃないのと思うのですが、自民党内の民営化反対派も野党も、口では色々言いながら行動が相当バタバタしてきました。
衆院解散の是非、内閣が政治的責任で決定・政府が答弁書
政府は19日の閣議で、郵政民営化法案が参院で否決された場合に小泉純一郎首相が衆院解散・総選挙に踏み切ることの是非について「新たに民意を問うことの要否を考慮して内閣が政治的責任で決すべきものだ」との答弁書を決定した。
天皇の国事行為を定めた憲法7条に基づく解散を巡っては、首相の判断に制約があるかどうか諸説ある。答弁書は首相の自由裁量との見解を示したものだ。民主党の島聡衆院議員の質問主意書に答えた。(NIKKEI NET 2005年7月19日)
島議員が質問主意書を提出しようとした意図は彼のHP上のコラム「政権交代への道」に詳しく書いてありますが、要は「衆議院で法案が成立し、参議院で否決されたからといって、衆議院を解散するというのは論理的にどうしてもおかしい。内閣総辞職しろ」ということのようです。

島議員を腐すつもりはありませんが、いかにも議員の立場からの意見だなというのが第一印象。突き詰めていけば二院制における参議院の位置づけって何だっけ?という話になるのでしょうが、解散総選挙が「国民に信を問う」という位置づけで行われるものであり、衆議院でしか解散総選挙を実施できない以上、内閣が国民に信を問いたいと考えれば衆議院を解散するしかないと思うのですが…。

いち有権者である私としては、基本的には選挙で選出された議員に任期いっぱい仕事をしてもらいたいと思っているのですが、政権公約として掲げた公約を説明なく無視する政党や任期中に説明もなく宗旨替えする議員が当たり前のように出てくる現状では、いったん当選すると六年間は首を挿げ替えることができない参議院というのは何かと使いにくいのが正直なところで、参議院にも解散総選挙があるといいのにと思うことはしばしばあります。

島議員の意見がいかにも議員の立場からのものだというのはまさにこの点を見落としている(またはあえて無視している)ところにあるわけで、二院制における参議院の意義であるとかを持ち出して論理的におかしいとか何とかいうのであれば、有権者の一人としては「参議院なんかつぶしてしまえ!」とはっきりいっておきたいと思います。

ちなみに質問主意書で問題にされている憲法第七条、天皇の国事行為に関する規定は次の通りです。素人には、内閣の判断に制限があるとは読み取れないのですが…。
第七条  天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
一  憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
二  国会を召集すること。
三  衆議院を解散すること。
四  国会議員の総選挙の施行を公示すること。
五  国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。
六  大赦、特赦、減刑刑の執行の免除及び復権を認証すること。
七  栄典を授与すること。
八  批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
九  外国の大使及び公使を接受すること。
十  儀式を行ふこと。
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