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お気楽金融雇われ人の見聞録

EU転んだ

欧州統合のこれからの道筋を指し示す欧州連合(EU)憲法に、フランス国民が国民投票で「ノン」の答えを突きつけた。半世紀前に始まり冷戦の終結と同時に急加速した欧州統合だが、加盟国の拡大と統合の深化を目指す流れの中で最大の難局を迎えたのは間違いない。(NIKKEI NET 2005年5月31日)
EU憲法の批准の是非に対するフランス国民投票は大差で否決された。
事前の予想は否決されるというものが多かったような気がするので、否決されたこと自体は驚きではないが、EUの中でのフランスの立場、国際社会でのEUの立場は、しばらくの間小さくなることは避けられそうに無い。

で、これが日本にどのような影響を及ぼしてくるのかというと、新聞の社説を読んでもよく分からない。

おそらくは日本にとっての望ましからざる影響は、中国を経由して朝鮮半島に出てくるのだろう。

中国としてはEUとつるむことでアメリカを牽制しようとしていたのは間違いない。武器輸出も解禁が目前だったし。しかし、EUからの武器輸出は、訳の分からない反日デモを押さえなかった中国自身の失策と、今回のことでさらに遠のいた。これによって、中国の朝鮮半島へのプレゼンスは相対的に低下するのは間違いない。

そうなると、中国による北朝鮮への押さえは益々期待できなくなるだろう。中国は北朝鮮から「核実験進めるぞ」宣言されて止められなかったように、すでに影響力が小さくなりつつある。

ロシアはEUが転んで、西側の国境が落ち着いたため、今度は興味津々で東側国境を接する朝鮮半島を見ているのだろうが、さすがにすぐには出てこられない。アメリカは、イランに目が行ってしまっているので、朝鮮半島に本腰入れて対応してくるとは思えないし…。韓国は「バランサー論」などという夢物語をぶち上げて朝鮮半島を北へ南へふらふらしている。

中国のプレゼンスが低下するのと引き換えに北朝鮮の暴走は止まらない。日本への影響は、差し引きちょっとマイナスか。