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お気楽金融雇われ人の見聞録

公立の学校にエアコンが無いのはなぜ?

5月20日のエントリーで、「学校の週5日制に賛成。授業時間が確保できないのならば夏休みを削るべし」と書いたところ、ryiさんから「夏の暑さの中での授業は、先生も生徒も地獄だ」というコメントを頂いた。

言われてみれば確かにその通り。わが子が通っている小学校(公立)も教室に冷房なんて入っていない。これで夏休みを削ったらなどというのは暴論だった。

でも世間でこれだけ冷房が一般的になってきているのに、公立の小中学校にエアコンが入らないのは何か理由があるのだろうか?文部科学省が「勉強する立場の小中学生に冷房など早い!」など言ってエアコンの設置を禁止しているのだろうか?

そう思ってちょっと調べてみた。

文部科学省のサイトでは、「学校施設の整備に関する指針」が公開されており、小学校、中学校、高校とそれぞれの学校設備の整備指針が掲載されている。その中の「小学校施設整備指針(平成15年8月)」では、冷暖房装置の設置について次のように書かれている。
冷暖房設備
  1. 当該各室・空間の壁,開口部などの断熱化,室形状,自然の通風条件等と併せ総合的に計画することが重要である。
  2. 設置する各室・空間の容量,形状,利用人数,学習内容等に応じ,冷暖房の負荷を適切に設定し,方式,規格,数等を計画し,設計することが重要である。
  3. 設置位置は,当該各室・空間の形状,机などの配列等に応じ,適切に決定することが重要である。
  4. 冷暖房の運転及び調節の方法,機器の安全性を十分検討し,適切に仕様を設計することが重要である。
  5. 屋内運動場を体育活動や儀式的行事,学芸的行事,各種集会,学習・研究成果の発表等に利用することを考慮し,地域の寒冷度,利用状況等を十分検討した上で,暖房設備の設置を計画することが望ましい。
  6. 保健室は,地域の実態等に応じ,暖房設備又は冷房設備の設置を計画することが重要である。
中学校も高校も指針として書かれていることはほとんど同じなので、エアコンの設置が禁止されているわけではなさそうだ。

となると、エアコンの設置費用を出す地方自治体のカネの問題なのか。これだけエアコンが一般に普及しているのだから、国から何らかの助成制度があってもよさそうなものだが…と思って文部科学省のサイトを見ていたら、やはりあった。

公立学校の施設整備」というコーナーの「実務編」で学校の建物の改造等に伴う国庫負担(助成金)の仕組みが説明されており、そこでは空調設備工事も次の通り助成制度の対象となると書かれている。
空調設置工事(平成6年~)
[補助対象工事]積雪寒冷地以外の地域で以下の教室に空調設備を設置する工事
音楽教室・家庭科室・図書室・職員室・保健衛生室・コンピュータ教室・LL教室等
※コンピュータ教室・LL教室については地域を問わない。
※積雪寒冷地でも必要に応じ対象とする。
[補助対象工事費]400万円~2億円
…。
これって結局のところ、文部科学省はやっぱり「勉強する立場の小中学生に冷房など早い!」と考えているということだよなぁ。こういう制度にすれば、そりゃ一般の教室のエアコンは後回しになるわ(助成制度が無いからといって後回しにする方もする方だが…)。学校の先生も子供たちも、まだ当分は夏は暑い中で授業することを強いられそうだ。


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私、学校週5日制に賛成です(2005年05月20日)