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バチカンとの国交回復が中国に与える影響は?

「バチカン、台湾と断交」香港司教が対中交渉を示唆
5日付の香港各紙によると、香港カトリック教区の陳日君司教は、バチカン市国が1951年以来断絶している中国との外交関係の復活を図り、すでに台湾と断交することを決定した、と述べた。
香港で4日に開催されたローマ法王の追悼ミサで陳司教が述べたもので、今後の法王交代を受けて中国とバチカン市国による交渉が始まる可能性を示唆した。陳司教によると、中国は国交回復の条件として、〈1〉台湾との断交〈2〉中国への内政不干渉――の2点を挙げているという。(YOMIURI ON-LINE 2005年4月5日)
中国としては、台湾が「国」としての扱いを受けているのは我慢ならないだろうから、バチカンが台湾と断交し、中国との国交を回復するのが望ましかろう。また、宗教にある程度寛容なところをアピールすることで、「民主国家」中国をイメージ付けて、ちょっと雲行きが怪しくなってきたEUからの武器禁輸解除のサポート材料にする腹づもりもありそうだ。

ただ、中国側が台湾との断交を条件としているが、バチカン側は台湾との協議前に一方的に断交に踏み切ることはありえないとしているし、台湾は台湾でバチカンとの外交関係を死守しようとしているから、そう簡単に国交が回復できるかというと、結構時間はかかるのかもしれない。

その一方で、法輪功チベット仏教への対応を見ていると、中国はそううまく宗教と付き合える国だったかなぁというのが率直な疑問。国交回復の条件にわざわざ内政不干渉を挙げているあたりを見ると、中国政府の宗教アレルギーというのは相当に根の深いものがあるのだろう。

したがって、バチカン側に内政干渉の意図が全くないとしても、国交を回復することでキリスト教に寛容になる(であろう)ことがチベット仏教法輪功など他の宗教にどのような影響を及ぼすか、また中国当局がそれらの事態にどう対応してくるかちょっと分からない。もしかすると、想像しているよりも大きな影響が出てくるのかもしれない。しばらく注意して見ておくことにしよう。

ま、それはそれとして、中国様も国交回復の条件に内政不干渉を要求するのであれば、すでに国交を結んでいる日本の内政への干渉も「槐より始めよ」でスパッとやめてもらいたいものですな。