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郵政民営化法案骨子-なんか問題あるのか?

郵政民営化法案の骨子を発表・政府
政府は4日、郵政民営化法案の骨子を正式決定し、発表した。持ち株会社保有する郵便貯金・郵便保険(簡易保険)両会社の株式について、2017年までの10年間で完全売却することを義務付ける一方、完全民営化後の株式持ち合いを容認。自民党の主張にも配慮し、持ち株会社と四事業会社間の資本関係維持を可能にした。(NIKKEI NET 2005年4月5日)
ようやく郵政民営化法案の骨子がまとまった。懸案だった郵便貯金と郵便保険(簡易保険)の株式は10年間で完全売却することで決着した。

郵便局を全国に設置することを義務付けたことや持株会社郵便貯金と郵便保険の株式を買い戻す道を残したことで、「妥協の産物だ」とか「改革の原点がかすんだ」などと言うのは、どこを見ているのだろう?

株式持合いが問題だというが、国以外の株主ができた時点で、国だけの都合で郵貯簡保の資金を使うことはできなくなるわけだし、そもそも郵貯簡保の株式売却益は国庫へ返還することにされているわけだから、市中売却した株式を買い戻すカネはどこから手に入れるんだ?郵貯簡保のような打ち出の小槌はなくなっているのに。

郵政民営化のキモは、「国の信用をバックにしているにも関わらず、民間銀行より高い金利、民間保険会社より高い予定利率を提示するという手段で集めた本人確認もちゃんとしていないようなカネが、財政投融資という形で国に流れ不透明な資金の流れを作っていた」という仕組みを壊すことにあるわけだから、郵便貯金と郵便保険の株式を完全売却することを義務付けた時点で、郵政民営化プロジェクトは成功したといって良く、あとはもう枝葉末節の話だろう。

それがわかっているから自民党内の反対派の声はどんどん大きくなっているわけで、マスコミの皆様方におかれましては、今回の案を「骨抜き」だとか「現状維持だ」などとくさしたり、単なる政局観測でお茶を濁したりするのではなく、そのあたりを分かりやすく伝えてもらいたいなと切に願うものです。

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