聞いた、見た、読んだ。

お気楽金融雇われ人の見聞録

ニッポン放送が終ったと思ったら西武鉄道か

ライブドアによるニッポン放送とフジテレビの買収作戦は、ついに手詰まりになった感じ。今回のフジテレビ株のファンドへの疎開については、法廷に持ち込んでもちょっと勝ち目がないだろう。短期的に打てそうな手は、一時噂されたようにLBOを仕掛けるくらいだろうか。それでもちょっと勝ち目は薄そうだ。

それにしてもライブドアと手を組むのは嫌だけど、ソフトバンクの影がちらつくSBIなら良いというフジテレビ・ニッポン放送連合の感覚は正直良くわからん。まぁ10年前は今のライブドアと同じように毛嫌いされていたソフトバンクも、10年経って「そちら」側に取り込まれたということなんでしょう。10年後までライブドアが生き残った時、ソフトバンクと同じような役回りを演じることになるかどうかは興味深く見ておこうと思う。

で、ニッポン放送の買収作戦が収束に向かったと思ったら、今度は西武鉄道グループが新しい買収作戦の舞台になりそうだ。西武鉄道グループについては、西武グループ経営改革委員会が検討しているグループ再編計画に対して、堤前会長を除く堤家の人間や村上ファンドなどが反対の意思表示をしていたが、思わぬところから横槍が入った形。
複数の西武グループ関係者によると、ゴールドマン側は「中核会社のコクドが保有する西武鉄道株の買い取りとコクドの有利子負債肩代わりを申し入れてきた」という。西武株の買い取り価格は1株1600円程度のもよう。昨年12月の上場廃止時(485円)の約4倍、昨年10月の有価証券報告書の虚偽記載公表で暴落する直前(1081円)に比べ500円強それぞれ高い水準だ。(NIKKEI NET 2005年3月25日)
経営計画委員会にとって痛いのは、ゴールドマンサックス側が提示している西武鉄道株の買い取り価格が暴落前の株価より更に高い水準になっているところ。

というのは、中間発表された再編計画では、みずほコーポレート銀行投資ファンドに出資を仰ぐため、既存株主の持分は希薄化することが前提になっている。したがって、経営改革委員会は自らが検討している再編計画がゴールドマンの案よりも企業価値を向上させられるものであることを説明する必要が出てきたということ。西武鉄道とコクドの取締役会は再編計画を受け入れる方針みたいだが、もうひと悶着ありそうな雰囲気だ。

それにしても、UFJ銀行を挟んでの東京三菱銀行三井住友銀行の綱引きに始まり、ダイエー再編に関する産業再生機構と民間ファンドの綱引き、ニッポン放送を挟んでのライブドアとフジテレビの綱引きと、大規模な財務リストラが特定の関係者だけですんなり片付く時代はすっかり過去のものになってしまった感がある。こうなると、かつてソニーや松下がやったごとく上場子会社の上場廃止、完全子会社化が一般的になるのかもしれない。


[関連投稿]
カリスマ経営者も因果なものだ(2005年3月3日)
西武鉄道グループ再編案(2005年1月15日)
西武鉄道の再上場は可能か?(2004年11月23日)
西武鉄道上場廃止(2004年11月17日)